18、19年柔道世界選手権男子60キロ級銅メダルの永山竜樹(24=了徳寺大職)が、体重無差別で争う全日本選手権(12月26日、東京・講道館)に出場することが17日、分かった。

日本代表レベルでは最も小さい身長156センチで、最軽量級が出場するのは極めて異例だ。

全日本選手権は例年、前大会の決勝進出者や前年の五輪・世界王者らに「推薦出場資格」を与えていたが、今年は東京五輪代表と補欠らも対象となった。コロナ禍の影響で、今後の国内外の大会開催も不透明なため、永山は“特権”を行使。「1度は夢舞台に立ちたい」と強く思い、挑戦を決意した。約11カ月ぶりの実戦で、現在は100キロ超級の選手らと乱取り稽古に励むなど準備を整えている。

軽中量級選手は、故障リスクを伴うため敬遠しがちだった。18年には東京五輪同階級代表で身長160センチの高藤直寿(パーク24)が出場して会場を沸かせたが、初戦の2回戦敗退と壁は高い。

仮面ライダーに憧れて幼少期から「強さ」を追求してきた永山の武器は、小柄な体格を生かしたスピードと150キロのバーベルを持ち上げる圧倒的なパワーだ。24歳の小さな巨人が、夢の大舞台で「柔よく剛を制す」を体現する時が来た。

 

◆永山竜樹(ながやま・りゅうじゅ)1996年(平8)4月15日、北海道生まれ。4歳で競技を始める。愛知・大成高-東海大-了徳寺大職。15年世界ジュニア優勝。17、19年ワールドマスターズ優勝。世界ランク1位。得意技は背負い投げ。右組み。好きな食べ物は焼き肉。家族構成は両親と弟、妹。156センチ。

 

◆全日本選手権を沸かせた主な中軽量級選手

▽岡野功 64年東京五輪中量級(80キロ以下級)金メダル。67、69年大会で優勝し、「昭和の三四郎」と称された。171センチ。

▽古賀稔彦 90年大会決勝で89年世界選手権無差別王者の小川直也に敗れたが、「平成の三四郎」の挑戦は大きな話題に。92年バルセロナ五輪71キロ級金メダル。170センチ。

▽大野将平 14年大会3回戦で元全日本王者の王子谷剛志に指導3で敗れた。16年リオ五輪73キロ級金メダル獲得後の17年大会は2回戦敗退。170センチ。

▽橋本壮市 17年世界選手権73キロ級覇者。18年大会2回戦で90キロ級の垣田恭兵に反則負け。170センチ。