全日本柔道連盟(全柔連)は20日、10月の講道館杯全日本体重別選手権男子60キロ級決勝での判定を巡る混乱に関して、説明と今後の対応を発表した。

大会委員長を務めた全柔連の中里壮也専務理事は「このたびは日本最高峰の柔道大会の運営に不備があり、選手や関係者にご迷惑をおかけし、そして多くの柔道ファンの方々に混乱を招く事態となり、心よりおわび申し上げます」と陳謝した。全柔連は事態を重く受け止め、審判委員会、強化委員会、大会事業委員会、アスリート委員会にて議論を重ね、再発防止に向けた提言をまとめた。

以下は4委員会の主な共同提言。26日の常務理事会で審議・報告する。

(1)誤審があったことを認め、小西誠志郎(国士舘大)と米村克麻(センコー)の両者優勝。確定した判定が覆るのは異例。

(2)青柔道着の導入。寝技の攻防などにおいて、審判らがしっかり確認できるように講道館杯と全日本選抜体重別選手権において導入を検討。国内の主要大会では、白道着のみで争ってきた。

(3)審議後の場内アナウンス。大相撲やプロ野球のように、審議が行われた際には審判長らが選手やコーチ、観客らに審議結果を説明する。ただし、審判長の説明内容は決定事項であり、説明の過程においての判定を変更することはしない。

問題の試合は、技ありで先行していた米村が小西に押さえ込まれたにも関わらず、時計係が誤って米村の寝技とカウント。米村の一本勝ちが宣告された。その場で映像確認が行われ、小西が寝技で攻め込む状態から再開したが、最終的に米村が勝利した。

小西のコーチ席にいた国士舘大の吉永監督は、無観客の会場で「めちゃくちゃじゃないですか! しっかり、普通にやりましょうよ」と声を上げ、優勝した米村も「優勝できたことはうれしいですが気まずいです…」と複雑な表情を浮かべていた。