9大会連続15度目の花園を目指した大阪桐蔭(大阪2位)の戦いが終わった。

第100回を記念して設けられたブロック代表。各府県予選決勝で敗れたチームが、近畿で1枚の全国切符を目指した。綾部正史監督(45)は「勝負に勝ち負けは絶対にあるけれど、力の差がある訳ではない」と教え子たちをねぎらった。

18年度の花園を制す武器となり、代々受け継いできたフィジカル。前半はとにかく体を当てた。ピッチで戦う選手は「規律!」「ノーペナ(ペナルティー)!」と呼びかけ合った。互いにミスが少なく、攻める時間帯、守る時間帯がはっきりとした展開。前半17分に先制トライを許すまで、スコアは動かなかった。綾部監督は「『体を当てて、相手の嫌なことをやろう』と言っていた」。その言葉通り、1歩も引かずに、前半を3-7で折り返した。

小さなほころびが生まれたのは、後半7分だった。防御ラインの突破を許し、一気に攻撃のギアを上げた相手にトライを許した。

ゴールも決まり3-14。

それでも、ひるまず相手陣に攻め込んだ。後半24分、アドバンテージの合図を知ったBK陣が、思い切ってインゴールにハイパント。競り勝ったWTB中村颯太(2年)のトライ、CTB河村ノエル(2年)のゴールで4点差に迫った。

だが、古豪の壁は厚かった。3分後に相手のモールでトライを許し、最後までリードは奪えなかった。

試合終了の笛と同時に選手は崩れ落ちた。「もうちょっと用意していたことができたら…」と口にした綾部監督は、涙する選手を見つめながら静かに言った。

「チームの先輩たちが残してきた部分を、全て受け継いでほしい。若いチームで挑めたのも、今の3年生が本当に頑張ってくれたからです」

先発15人のうち、3年は5人。悔しさを知った下級生による、新しい旅が始まった。【松本航】