男子は、弘前工がライバル五所川原工の3連覇を阻止し、3年ぶり41度目の県王者に返り咲いた。第1セット(S)を落とすも、以降は3S連取で逆転勝ちした。来年1月5日開幕の全日本高校選手権(春高バレー、東京体育館)に出場する東北6県の代表校が出そろった。

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3年ぶり優勝の瞬間、弘前工・桜庭光大主将(3年)の目に涙がこみ上げた。「1年の時から、ずっと負けていた相手。やっと勝てた気持ちが強い」。連敗中で迎えた13年連続の両雄決勝カード。今年最初で最後となる、全国切符を懸けた大一番で雪辱した。今大会の抱負「捲土(けんど)重来」を体現させ、41度目の全国切符をつかんだ。

分析の積み重ねが、決勝に生かされた。普段から相手エース岡本知也(3年)を動画で研究。選手同士で意見交換も行うなど、岡本対策に余念がなかった。桜庭主将は「一番警戒する選手だったので、高いブロックで止めたかった」と第2S以降に対策が的中し、相手にプレッシャーを与えた。「練習で実践してきた成果をしっかり発揮できた」と納得の表情を見せた。

3年生の多くが1度は引退を考えた。桜庭主将を含む8人は今夏の県独自大会で一線を退くつもりだった。主力が1、2年生中心だったこともあり、春高バレー開催の先行きも見えない状況下で、導き出した答えだった。桜庭主将は「レギュラーに3年生がいない。春高もあるかどうか分からない。早く新チームに移行させた方が、良いのかなと思った」。3年生の総意として春藤裕和監督に伝えると「試合に出られなくても、3年生が支えてくれないと、チームが成り立たない」と引き留める指揮官の言葉に、3年生全員は現役続行を決めた。前身の「春高」では77年と81年に2度の優勝を誇る。桜庭主将は「(最近の)青森県代表は全国であまり結果を残せていない。本大会までに、見つかった課題を克服して、上位進出を目指す」と名門復活を誓った。【佐藤究】