「うたしん」こと吉田唄菜(17=岡山ク)西山真瑚(18=早大)組が大会2連覇を達成した。

2季連続の「ドン・キホーテ」。ツイズルでは2人とも最高評価のレベル4でそろえ、2つのリフトもレベル4と充実の内容。クラシックバレエの要素も採用した華麗なプログラムを存分に舞い踊った。

前回は初出場で優勝し、今回はディフェンディングチャンピオンとして臨んだ試合。西山は「去年は初めて出て優勝できたことがうれしかった。『同じ喜びを味わえるように』と思って今年やってきて、再び優勝できたのは去年と同じようにうれしいけど、今年は責任もあった」と心境の変化をかみしめた。

一方で、その責任が緊張につながったのかもしれない。吉田が「(西山)真瑚君が緊張しているのが伝わってきたので、一緒に緊張しないように(笑い)。『あとちょっとだよ』とか会話しながら踊っていました」と氷上のやりとりを明かし、西山が「ちょっとした声掛けでも緊張が解けるので…ありがたかった」と照れ笑いする、ほほえましい一幕もあった。

今大会から有観客となったことも硬くなった一因かもしれないが、素直に力になっていた。収容人数上限の50%を目安とした約700人の手拍子を浴びながら踊り、吉田が「拍手してくださるので楽しめました。今日は満足のいく演技ができました」と感謝すれば、西山も「自分たちも楽しんで。『お客さんの力って偉大だな』と、あらためて感じた試合でした」と頭を下げた。91・06点をマーク。前日のリズムダンス(RD)の58・74点と合わせて149・80点で2年連続の頂点に立った。

吉田の拠点が岡山で西山は東京と、なかなか合わせる時間がなく、週末のナショナルトレーニングセンター(NTC)など練習は限られる。もともとの本拠、カナダ・トロントのクリケットクラブにも、いまだ戻れるメドは立っていない。撮影した練習動画を送ったり「Zoom」を通じてオンラインのレッスンは受けたりしているが「早く戻りたい。何か道はないかな、とは思っているんですが」と西山が苦しい胸の内を吐露する状況が続いている。

それでも、今はただ受け止めるしかない。吉田は「今後もユニゾンを磨いていったり、レベルの取りこぼしをなくしていきたい」と自分たちにフォーカスし、西山も「試合だと、どうしても70%とか80%の力しか出せない。そこを100%のマックスに上げられるように高めていきたい」と上を向いた。

20年ユース五輪(オリンピック)の混合団体金メダリスト。ジュニア界では孤高の歩みが続いても、全く満足していない。次の試合があると信じ「さらにレベルアップしていきたい」と声をそろえた。【木下淳】