天理大が新型コロナウイルスのクラスター発生を乗り越え、5年連続12度目の優勝を果たした。

1、2位決定戦で同大に54-21と圧勝。8月に活動休止を余儀なくされ、描いたチーム作りができない中でも、伝統の力で関西王者の座をつないだ。FW松岡大和主将(4年)は「日本一で恩返ししたい」と誓った。3、4位決定戦は京産大が関学大に勝ち、全国大学選手権出場枠に滑り込んだ。

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前半で勝負を決めた。天理大の松岡主将は「自分たちからプレッシャーをかけようと。体を当て続けて、DFの部分から圧力をかけていった」。人対人、コンタクトの部分で同大からマウントを奪った。前半で26-0。修正してきた同大が後半に追いすがってきても貯金は余裕で残った。

5連覇は感慨があった。8月、部内で新型コロナウイルスのクラスターが発生した。松岡主将は「試合できるのか、練習だけで終わるんじゃないか-。ネガティブな(考えを持つ)選手もいた」と振り返る。

不透明なまま、迎えたシーズン。FB松永拓朗(4年)は「いつもなら春に関東のチームと試合をして、自分たちのレベルが分かる。今年はそれがなかった。自分たちの力がどこまで通じるのか、分からないまま始まった」。実戦経験の不足。ただ、それは他のチームも同じ。その中で関西王者の座は譲らなかった。

目標をひとつクリアし、最大の目標に挑む。松岡主将は言う。「(クラスターで)誹謗(ひぼう)中傷もあった。それ以上に応援の声があった。自分たちは支えてくれた、その声に応えたい。気持ちだけじゃなく、日本一という結果で恩返ししようと思っている」。天理大の戦いはここから始まる。【実藤健一】

◆今季の関西大学ラグビー 8校がA組(昨季奇数順位)B組(同偶数)に分かれてリーグ戦を実施。各組の同じ順位が対戦して最終順位を決める。全国大学選手権へは、優勝の天理大、2位同大、3位京産大が出場する。