アスリートが性的な意図で写真を撮影されたり、会員制交流サイト(SNS)にみだらな文章や画像を拡散されたりする被害にスポーツ界がようやく動きだした。20年以上前から続き、中高生にも広がる問題。元女性トップ選手らが経験を踏まえ、今まで口に出せなかった声を上げた。

バレーボール女子の日本代表として2004年アテネオリンピック(五輪)に出場した大山加奈さん(36)は、日本オリンピック委員会(JOC)が性的画像問題の対策に乗り出す方針が明らかになると、いち早く「全力で守ってあげてほしい」と自身のツイッターで表明した。「このタイミングで、みんなで考えてしっかり改善しないといけない」という思いだった。

「今考えるとひどかった」。05年ごろ、Vリーグ会場でトイレの個室に設置されたカメラで盗撮されていた事態が発覚した。ユニホームや名前がはっきりと写し出され、選手が特定できる形でインターネットなどに流通していた。「自分のはなかったが、本当にショックだった。怖かった」と振り返る。チームがカメラを探知する機械を購入し、会場のトイレを調べるようになった。

同時期に、赤外線カメラで下着が透けるように撮影された写真がネット上に掲載されていることを知った。自身も含めてターゲットはさまざまなチームの選手。ただ「女子アスリートはある程度しょうがないと受け入れた」。高校生の時に観客として見に行ったVリーグの試合で、前方に座る男性が選手のお尻をアップで撮影する様子を目にしていた。「気にしていたらプレーできない」という諦めに近かった。

まずは選手が守られる環境が必要だという。学生時代に出場した大会では、更衣室が用意されずに観客席やトイレで着替えたことも多かった。「カメラで狙っている人もいる。控室を確保するのは難しいかもしれないけど、配慮してもらいたい」と求める。

自らの発信力を活用し、近年はスポーツ界に根強く残る体罰の問題にも積極的に発言する。「子どもを守れるのは大人」と強調する大山さんは「おかしいと声を上げた人がおかしいとなってしまう風潮がまだある。声を上げた人が、悪者扱いされないで済むように環境が整っていかないといけない」と指摘した。

◆大山加奈(おおやま・かな)1984年(昭59)6月19日生まれ、東京都出身。成徳学園高(現下北沢成徳高)で日本代表入りし、世界選手権やワールドカップに出場。04年アテネ五輪では5位入賞に貢献した。10年に現役引退した。