前年度準Vで第2シード古川学園(宮城)が1-3で就実(岡山)に敗れ、2年連続9度目の決勝進出を逃した。今春V・プレミアリーグ入りが内定するキューバ人留学生のバルデス・メリーサ(3年)がバックアタック14本を含む計42得点(サーブ3点、ブロック2点)と奮闘し、第3セット(S)を奪い返す意地を見せたが、第4Sで力尽きた。それでも1年生セッター熊谷仁依奈(写真は東北題字)らが全国の大舞台を経験。司令塔を中心に雪辱を期す。

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古川学園が2年連続のセンターコート(4強以上)で涙した。2年前の3回戦でストレート負けした就実に雪辱を果たすことはできなかった。第1Sは先にセットポイントを握ったが、ジュースの末に25-27で失った。全4Sすべてで8点目と16点目のテクニカルタイムアウトを奪われ、追う展開を強いられた。就任20年目の岡崎典生監督(52)は「1セット目を取り切れなかったのが一番」と敗因を挙げた。

昨年の決勝で右肩の痛みを訴え、ベンチで涙したメリーサが精神的にも成長。チーム総得点(92点)の約半数を1人で挙げたが、及ばなかった。相手サーブの標的になりながら、レシーブでも貢献し「決めたら喜んでもらえるので本気で決めた。肩は痛かったけどみんなを最後まで笑顔にしたかった。勝てたらもっと良かった」と振り返った。岡崎監督も「メリーサにこれ以上は望めない。すべてにおいて成長した」と、チーム史上最強アタッカーの働きぶりをたたえた。

全国高校デビューしたセッター熊谷も経験値を高めた。宿舎で同室だったメリーサとは前夜、「スマイル(笑顔)を忘れないで2人で1人になろう」と話し合った。エースを生かすために多彩なトスワークを心がけたが、やはり負担は大きかった。「メリーサ先輩を1人にさせないようにしたかったのに、最後は1人にさせてしまった」と大粒の涙を拭った。

創部60周年。新チームには今大会、左足故障でベンチから外れた身長195センチのドミニカ共和国からの留学生、タピア・アロンドラ(1年)も残る。試合後、メリーサに「ありがとう」と声をかけられた熊谷は「憧れの場所に立てた。テレビで見ていたより難しい場所だと実感した。3年生の背中でたくさんのことを教わり、成長できた。この悔しさを力にしたい。次は自分が(背中を)見せたい」と力強い言葉を残し、コートを後にした。【佐々木雄高】