天理大(関西1位)が、3度目の決勝で初優勝を飾った。2連覇を懸けた早大(関東対抗戦2位)に55-28。決勝最多55得点で圧倒した。

関西勢の優勝は故平尾誠二さんを擁して3連覇した84年度の同大以来、36大会ぶり。

   ◇   ◇   ◇

天理大は決勝を想定した「準備力」が素晴らしかった。初めての国立競技場で“アウェー”にもかかわらず、終始主導権を握っていた。観衆約1万1000人で歓声もなく、それもプラスに作用しただろう。準決勝からの9日間で国立での大一番をイメージし、状況に応じた練習を反復していたからこそ、課題のラインアウトのミスも少なかったと考える。感情むき出しで雄たけびを上げるなど、昭和の選手のような松岡主将のキャラクターも結束力を高めた要因かもしれない。一方で、早大は昨季も国立を経験して優位なはずなのに準備不足が目立った。後半には強みのFWがスクラムで押されてトライを奪われ、肝心なラインアウトでのスローイングミスも重なった。決勝の重圧かもしれないが、それも想定した上で準備する必要があった。選手の優れた個人能力に頼り過ぎて、組織力では完敗だった。36大会ぶりに関西勢が全国制覇し、大学ラグビーが変わるかもしれない。これまで関西勢が関東勢に負け続けた理由は、練習環境の差が大きい。移動問題もあるが、早大がトップリーグのサントリーなどで出稽古するように、上のレベルと体をぶつけることでより成長できる。関西でも同じような環境が整えば「東高西低」は一気に崩れるだろう。(元日本代表)