日本ラグビー協会は14日、トップリーグ(TL)の3チームに新たな新型コロナウイルス感染者が計18人出たことを受け、16日の開幕を延期すると発表した。12日に発表した3チームの陽性者44人と合わせると計62人となり、大会運営が困難と判断した。現段階では、2月上旬から中旬の開幕を目指し、期間短縮に伴い大会方式も変更する。日本協会は、各チームの感染対策などを含めた原因究明を急ぐ方針を示した。

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ラグビー界に再び、激震が走った。開幕直前に神戸製鋼から10人、東芝から5人、NECから3人の計18人の陽性者が判明した。12日に発表したキヤノン、トヨタ自動車、サントリーを含めると計62人。重症者はいないが濃厚接触者が多数に上り、TLの太田治チェアマンらが関係者と協議の上、開幕延期を決めた。

この日、緊急オンライン会見を行った日本協会の岩渕健輔専務理事は「濃厚接触者の特定まで時間がかかり、グレーな状況のまま進めるのは難しい。1度止めるのが最善の選択と判断した」と理由を説明。感染者や濃厚接触者の自粛終了時期を踏まえながら、2月上旬から中旬の開幕を目指す。対戦カードや会場なども再調整し、既に販売したチケットの取り扱いは、今後決定する。

リーグを成立させるためには「実施予定試合の75%以上」とのTL規約がある。延期することで満たす可能性は低いとし、大会方式も2ステージ(S)制から1S制に変更。日程を短縮するが、6月にテストマッチを控える日本代表活動に影響しないよう、5月下旬の閉幕は変わらない。

日本協会は、用紙60枚にも及ぶ感染症対策のガイドラインを制定している。1月に入っての陽性者急増を受け、全チームが実施しているPCR検査を隔週から週1回にするなどガイドラインの見直しも検討する。濃厚接触競技とされるラグビーで、62人の感染者が出ているが、競技での接触認定報告は「ない」とする。世界的スター選手が続々と来日し、注目を集める今季TLの試練は続く。

○…16日に国立競技場で予定していた東芝-NTTコミュニケーションズの開幕戦は、“幻の試合”となりそうだ。TLで14季ぶりの国立開催だったが東京五輪・パラリンピックを見据える上で、太田氏は「あの日時がぎりぎり。新たに国立でやることは厳しい」との考えを示した。東芝のフランカーのリーチと、元スコットランド代表のSHレイドローとの「19年W杯代表対決」も注目され、チケットは約2万枚売れていた。