世界ランク91位の及川瑞基(23=木下グループ)が、東京五輪代表の張本智和(17=木下グループ)を準々決勝で破った。

自分から“番狂わせ”と言わんばかりだった。「相手の方が格上で、経験もある。もちろん勝つつもりでしたが、正直勝つとは思わなかった。ビックリしています」。ゲームカウント4-1で、スコアは11-5、11-8、11-4、5-11、11-8。バックハンドの打ち合いが多かったが、コースを意識し、下がらず前でさばくよう心がけた。「最初から戦術は整理できていたし、ラケットも前によく振れていた。いいプレーが多かった」と振り返った。

張本をずっと昔から知っている。「彼が1、2歳の頃、ちっちゃな卓球台で練習していて。6、7年はずっと一緒にやっていました」。大人になっても、所属が同じ木下グループ。直近2、3カ月は一緒に練習する機会が多く、全日本に向けて「僕は1つ1つですが、彼と『勝ち上がれば、準々決勝で当たるね』と話していた」という。

緊急事態宣言発出下で、試合中の“声”に規制がかかった大会。「(張本は)いつもより少し気迫がなかったかな…。彼は声を出して、自分を鼓舞するタイプだから、波に乗れず、やりにくかったのかもしれませんね」。6歳下の“弟分”を気遣う一幕もあった。

堂々の準決勝進出だ。「1つの目標だった表彰台に上がれます。ここまで来たら、優勝したい」。優勝候補を破った男に、頂点が見えてきた。