女子57キロ級で高橋杏奈(札幌山の手2年)が人生初の全国大会出場を決めた。決勝で全日本連盟D強化選手(15~17歳)の椿原里梨(北海1年)を合わせ技一本で下し初優勝した。校内で新型コロナウイルス感染者が出た影響で今月4日まで1カ月間も部活動が休止となったが、磨いてきた技を貫き王座をつかんだ。各階級優勝者は全国高校選手権(3月19日開幕、東京・日本武道館)に出場する。

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決勝を制して畳に立つ高橋の顔は、充実感に包まれていた。胸に抱いていた自信が、結果となった。「柔道をやってきて初めて全国を決められた。すごくうれしかった」。小学校入学前から競技を始めて、初の全国切符を手にした。頬を紅潮させて喜んだ。

決勝の相手は昨年全国中学2位の実績がある椿原。52キロ級で出場した前回大会を含め過去最高は全道3位。高橋にとっては“格上”の相手でも自信があった。11月の札幌地区予選決勝でも勝っており「自分の方がメンタルは崩れないし組み負けない」。開始1分過ぎに得意の内股で技ありを奪う。勝機をつかむと攻め手を緩めず、再び相手を崩し押さえ込んで合わせ技一本。「練習した成果が出せた」と納得顔だ。

コロナ禍で春先から全体練習が制限され、12月に入ると校内でコロナ陽性者が出た影響で部の活動は今月4日まで休止された。困難な状況の中でも決勝での再戦を想定して、椿原の映像を何度も研究し、1人で内股の打ち込みを黙々とこなした。年末年始も「ずっと寝てました」とステイホームも苦にせず、今大会に向けて照準を合わせてきた。

この日は柔道を一緒に続けてきたOBの兄駿介(金沢学院大1年)の19歳の誕生日。高橋は「いつも優しい兄に『優勝をプレゼントするよ』って言っていたので良かった」。試合後に優勝を報告すると、駿介からは「おめでとう、良かったね」と即座に反応してくれたという。

1カ月半後に迫る人生で初の全国舞台。18年総体出場の駿介は1回戦で敗れている。高橋は「まずは1回戦を突破して、兄を越えたい」。ひた向きに稽古に打ち込み磨いた技で、全国1勝を目指す。【浅水友輝】