常翔学園のBK陣が、マルチポジションで天理ディフェンスを打ち破った。象徴的だったのはFB仲間航太(2年)だ。後半に14-13に迫られ、なおも自軍ゴール前に迫られた場面では逆風に負けない低弾道のタッチキックでハーフ付近までエリアを戻し、ピンチをしのいだ。アタックでは本来のSOに位置取ってゲームを作り、スクラムではSHにまで入った。

仲間は「僕にマークが集まりやすいですから。背番号と違う動きをしたら、相手に“何してくるかわからん”と思わせられますし」と話した。

仲間の動きに連動し、SH田中景翔(1年)がラインに入り、次のフェーズで始動を早める。SO神田陸斗(2年)やWTB岩本総司(2年)は持ち前のスピードを存分に披露した。

新チーム発足間もない現在、野上友一監督(62)は「1人1人が強気で仕掛けて、強くなることが大事。個々が強くならんと束になった時に弱っちいでしょ」という。その思いにこたえるように、教え子は個々に果敢なプレーを見せた。

天理の組織的なラグビーに数回、ターンオーバーされて劣勢に回ったが、14-13から3連続トライで突き放した。近畿王者に王手をかけた。野上監督は「ハラハラさせやがって」と苦笑いしつつ「天理にやられるパターンは、ひるんだ時。よう辛抱した。天理に完勝できた」と喜んだ。CTB山本大悟主将(2年)は「まだまだ課題は多いです。僕らのやりたいことができていません」。ここからもっと力をつけていく。