19年ワールドカップ(W杯)日本代表でパナソニックのWTB福岡堅樹(28)が開幕戦のリコー戦後、自身のツイッターを更新し、順大医学部に合格したことを報告した。

試合直前に合格が判明して、フル出場。後半23分には今季初トライを挙げるなど、55-14の勝利に貢献した。TLが最後となる今季限りで現役を引退する。今春には目標に掲げるTL優勝と、もう1つの夢だった医師への道に進む。

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文武両道を極める28歳のラガーマンが、念願の「医学部合格切符」を手にした。福岡は試合後、ツイッターを更新。「報告」と題し、「この度、順天堂大医学部に無事合格することができました! この挑戦は、本当に多くの方々の助けがあって成し遂げられたと思います。この感謝の気持ちを忘れずに、また新たな挑戦の道を歩んでいきたいと思います」と記した。

試合直前にネットで第一志望の合格を確認。興奮を抑えて、開幕戦に先発した。まさに「頭はクールに、心は熱く」を体現。34-14で迎えた後半23分には、果敢に前に出て、相手パスをインターセプトして30メートルを独走。今季初トライを決めて白い歯を見せた。試合後、ディーンズ監督は「試験を受けながら、ラグビーをするのは並大抵でない。人間に限界がないことを証明してくれている」と絶賛。同期のフッカー坂手主将も「最後は(5季ぶりの)TL優勝して送り出してやりたい」と後押しを誓った。

19年W杯、20年東京五輪を経て医師の道へ-。このような人生設計を立てていたが、五輪延期に伴い昨年6月に7人制を断念。その背景には、尊敬する歯科医の父綱二郎さんの「一番後悔しない道を選びなさい」との言葉があった。己の道を歩み、チーム練習と並行して医学部予備校に週3日通い、1日6時間以上の受験勉強に励んだ。今季で現役を引退し、今春から医学部生としての新生活が始まる予定。プロ選手として自身がまだ成し遂げていない「TL優勝」を次のターゲットに定め、残り試合を走り続ける。【峯岸佑樹】

◆福岡堅樹(ふくおか・けんき)1992年(平4)9月7日、福岡県古賀市生まれ。5歳でラグビーを始める。福岡高3年時に全国高校大会(花園)に出場。医者志望で複数の大学からの誘いを断り、1浪後に筑波大(情報学群)に進学。大学では2度の大学選手権準優勝に貢献。15、19年W杯日本代表。15人制代表キャップは38、7人制同キャップは4。祖父は内科医、父は歯科医。175センチ、83キロ。血液型A。