国際大会でも活躍したフィギュアスケート女子の永井優香(22)が現役最後の演技を披露した。13日に東伏見のダイドードリンコアイスアリーナで開催された、所属する早大スケート部フィギュア部門による「WASEDA ON ICE」に参加。現役引退を決めていた永井のためにもと実現した第1回のショーで、思い入れ深い、ショートプログラム(SP)「エデンの東」を、持ち味の優雅さを十分に滑りきった。

ショーは無観客で映像が生配信された。最後には画面を通して見守った1700人以上の視聴者へ向け、マイクであいさつ。「高校3年の時にスケートでガクッと成績が落ちてしまって、すごい難しい気持ちのなかで入部したんですけど、本当に部長先生監督OB・OG、先輩、同期がすてきな、温かい人ばかりで、入学してからまたスケートは楽しいという気持ちを取り戻して、4年間やってこれました。山あり谷あり、谷のほうが多かったかもしれないですけど、それでも、こうやってこの場に立っていられるのは、出会った人のおかげだと思ってます。最後に大好きな部員と一緒に楽しい時間を過ごせてすごく幸せです。本当にありがとうございました」と感謝した。

ジュニア時代から国際大会に出場し、14年の全日本選手権では4位と躍進。15年スケートカナダでは3位で表彰台にも上がった。18年平昌五輪の代表候補に名前を連ねたが、「突然ジャンプが跳べなくなることがありました」と振り返る。試合でも練習でも、思うように行かない日々。学生生活でかけがいのない仲間と過ごすことで、何とか前を見つめてきた。この日、演技前に仲間から送り出され、演技後も仲間から迎え入れられた。どちらも笑顔。それがともにした時間の貴重さを物語っていた。

4月からは損害保険会社に就職する。「何をするかは決まってないんですが、皆さまの安心と安全に寄与していきたいと思っております」とお手本のようなコメントをして照れ笑い。「いままで本当に支えていただくことが多かったので、これからは誰かを支える存在として、世の中に貢献していきたいと思います」と真剣なまなざしで続けた。

現役に復帰することは「戻りはしません。確実です。お客さんとして見に行きます!」と晴れ晴れしい顔で言い切る。苦楽も含め、やり抜いた実感がこもる。フィギュアの魅力とは? 改めて問われるとしばし考えて、一語一語に力を込めた。

「そうですね、技が1つ1つできるようになったときの喜び、あとは自分の好きなように表現できるのもおもしろいと思いますし、あとはいい演技をできたときに、たくさんのお客さまが自分1人を見て喜んでくださるのは他の競技にはない魅力なのかなと思っています」。

今後は、その「お客さま」の1人として、ずっとフィギュアに関わっていく。