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今日のイベント

【大会】

世界選手権

▼会場

スウェーデン・ストックホルム

▼種目

女子ショートプログラム(午前10時=日本時間午後6時開始)※時間は予定


今日の1枚

日刊スポーツが蓄積してきた写真の中から厳選して紹介します。

2020年10月10日
2020年10月10日

2020東京フィギュアスケート選手権・ジュニア男子SPの演技をする田村篤彦。


今日の出来事

安藤美姫が世界選手権で金メダル(2007年)

世界選手権<5日目>◇24日◇女子フリー◇東京体育館

美姫、涙の逆転金メダル! 安藤美姫(19=トヨタ自動車)がフリーで127・11の自己最高点を出し、合計195・09点で世界の頂点に立った。4回転サルコーは回避したが、ジャンプを完ぺきにこなし、ショートプログラム(SP)2位からの鮮やかな逆転でトリノ五輪15位のリベンジを果たした。SP5位と出遅れた浅田真央(16)は133・13点の自己最高でフリーは1位。合計194・45点で銀メダルを獲得し、日本人初の金銀独占を果たした。SP1位の金妍児(韓国)は3位に終わった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

もう言葉にはならなかった。「195・09点、1位」。アナウンスで世界一を告げられると、安藤の満面の笑みが感動の涙に変わった。「すごく苦労したんですけど…、家族やコーチや皆さんのおかげで…金メダルが取れてうれしいです…」。だが、涙もそこまでだ。降り注ぐ歓声に応えるように、世界女王は表彰台の上で誇らしげに笑った。

代名詞とも言える4回転サルコーは封印した。前日のSP後には挑戦を宣言し、この日の練習でも3回中2回を完ぺきに成功させていた。しかしモロゾフ・コーチがストップをかけた。「メダルを取るために」と、安全策を指示。1度は「東京開催だから跳びたい」と突っぱねたが、最終的には絶大な信頼を置く師の決断を尊重した。

それでも満員の大観衆を完全に魅了した。序盤の連続ジャンプを決めると、自然と笑顔が出た。中盤の3連続ジャンプで興奮は頂点に達し、リンクを妖艶(ようえん)に舞う直線を描くステップの際には、場内と安藤が完全に一体化していた。この時点で金メダルをほぼ手中にした。

トリノ五輪で15位と惨敗。「五輪の後、本当につらい時期があった。代表選考の時に何で選んだんだ、という批判の声もあったんで」。競技生活を退くという選択肢が頭をよぎったこともあった。その時、出会ったのが姉のように慕う荒川を育てたモロゾフ・コーチだった。

「ニコライ(モロゾフ)は私の弱い心を見抜いて、落ち込んだ時に慰めるのではなく、厳しく、やりなさいと言ってくれる。私を救ってくれた」。五輪前は「普段ならできるのに何でできないんだろう」というおごりにも似た感情があったが、厳しい指導で甘えが消え、精神的にも大人の階段を上ることができた。

モロゾフ・コーチとは来季こそ4回転に挑戦することを約束した。浅田真との金銀独占も勢いを加速させる。「(浅田真と)私たちで(世界選手権女王の)伊藤みどりさん、佐藤有香さん、荒川静香さんの強さを引き継げばいいと思う」。最大の目標は10年バンクーバー五輪だ。3年後の大舞台、その時こそは4回転を跳んで、この日と同じ色のメダルをつかむ。