フィギュアスケートの20-21年シーズンは、18日に閉幕した世界国別対抗戦で主要大会を締めくくった。22年北京五輪を狙うトップ選手だけでなく、今季脚光を浴びた12歳の中学1年生がいる。島田麻央(木下アカデミー)は3月、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら4回転トーループを日本女子初成功。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪で金メダルを目指す逸材が単独インタビューに応じ、今の思いを語った。【取材・構成=松本航】

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偉業は無観客の小さな大会で達成された。3月28日、京都府選手権。島田が4回転トーループを決めた。

島田 すごくうれしかったです。自信になりました。表現はできるようになったことが、すぐに見た目で分からないけれど、ジャンプは跳べるようになったら「成長した」って分かる。そこが好きです! 

日本女子の4回転成功は安藤美姫さん、紀平梨花以来の3人目。トーループに限ると、島田が初めてだ。昨年11月には全日本ジュニア選手権に“飛び級”で出場して3位。ノービスA(6月30日時点で満11~12歳)の表彰台は安藤さん以来、20年ぶりの快挙だった。

島田 憧れは浅田真央さんです。ソチ五輪の録画が家にあって、最初に見た時は、どこにも動けないぐらい、夢中になって見てしまう演技だなと思いました。

母の歩さんが浅田さんの大ファンで「麻央」と名付けられ、5歳でスケートと出会った。その頃に行われた14年ソチ五輪。リアルタイムの記憶はないという。

島田 1回だけ浅田真央さんと会ったことがあります。埼玉アイスアリーナにたまたま滑りにいった時、浅田さんが練習で来ていました。サインをもらって…。優しいお姉さんでした。

東京で生まれ、小5だった20年2月に母、妹と京都に移り住んだ。京都・宇治市を拠点とし、世界に羽ばたく選手を育成する木下アカデミーに所属。トリプルアクセル(3回転半)や2種類目の4回転となるサルコーの練習にも励む。周囲を驚かせる逸材だが、リンク外では等身大の12歳だ。

島田 試合で学校を休む時は、休み時間もテストを受けています。気分転換は(3歳下の)妹とくだらない話をすることです。あとはテレビを見るのが好き。「(フジテレビ系)逃走中」を見ながら「出てみたいな」って思っちゃいます。

性格も、自己分析した。

島田 せっかちです。夏休みの宿題も最初の1~2日で終わらせちゃう。中学生は宿題とか、計画的にやりたいなと思っています。

夢は五輪金メダル。現行の年齢制限では17歳で迎える26年大会が視界に入る。

島田 五輪は「自分がいるのと全然違う舞台だな」っていうイメージ。ロシアの選手は小さい頃から、難しいジャンプを跳んでいて気になります。トリプルアクセルを跳んで、4回転も3種類ぐらい跳びたい。ジャンプは同じぐらいになってくると思うので、それで勝つには、元々苦手な表現力が必要だなと思います。

輝く未来を追いかける。

◆女子の4回転 安藤美姫は14歳だった02年12月、ジュニアグランプリ(GP)ファイナルでサルコー初成功。大会はISU公認で女子世界初の4回転成功者。紀平梨花は昨年12月の全日本選手権(ISU非公認)でサルコー初成功。世界では16歳トルソワが4種(トーループ、サルコー、フリップ、ルッツ)を決めるなど、ロシア勢はシニア転向前から武器としている。

◆島田麻央(しまだ・まお)2008年(平20)10月30日、東京・小金井市生まれ。19年全日本ノービス選手権(ノービスB=6月30日時点で満9~10歳)優勝、20年同選手権ノービスA優勝。趣味はボウリング、ダンス。24、25日に木下アカデミー京都アイスアリーナ(宇治市)で行われる「ブルーム・オン・アイス」に出演予定。138センチ。