舞台がアイスショーでも、12歳は大技に挑んだ。

24日、木下アカデミー京都アイスアリーナで行われたフィギュアスケートの「ブルーム・オン・アイス」。4月に中学生となった島田麻央(木下アカデミー)は冒頭、4回転トーループに挑戦した。惜しくも転倒したが「試合で降りることができたので、ショーも入れて降りたいなと思いました」と冷静な口調で説明。以降もルッツ-トーループの連続3回転などを着氷させ、シニア顔負けの演技に観客から拍手が送られた。

注目度が高まるきっかけは3月、無観客で行われた京都府選手権だった。その場で4回転トーループを決め、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら、日本女子初の成功者となった。

なぜ、島田は4回転を決められたのか-。

この日のアイスショーで配られたプログラム。その「特技」の欄に、島田は「縄跳び」と記した。演技後に問われて、こう言った。

「三重跳びが得意です。20~30回は跳ぶことができます」

東京・小金井市で生まれ、スケートとの出会いは5歳。木下アカデミー設立に伴い、小5だった20年2月に母、妹と京都に移り住んだ。現在は紀平梨花(18=トヨタ自動車)らを指導する、浜田美栄コーチの教えを受ける。同コーチは4回転を成功させた島田の特徴を、このように分析した。

「肩の使い方がすごく上手。そしてバネと瞬発力。縄跳びも1回跳んで、2回目も(バネと瞬発力で)しっかりと跳べる方が、スケートのジャンプに向いています」

現在、4回転トーループの練習での成功率は「10回中4~5回ぐらい」(島田)という。その精度向上だけでなく、並行してトリプルアクセル(3回転半)や4回転サルコー習得にも取り組む。今後は成長期が訪れた際、感覚の維持も大きなテーマとなる。

来季はノービスA(6月30日時点で満11~12歳)の2年目。現行の年齢制限では、17歳で迎える26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪が視界に入る。島田は来季の目標を設定した。

「全日本ノービス選手権で優勝して、全日本ジュニア選手権に出場させてもらって、そこで去年(3位)よりも、いい結果を出したいです」

周囲が声をそろえる真面目な性格。12歳はスケートと誠実に向き合い、さらに成長していく。【松本航】