88年ソウル五輪競泳男子100メートル背泳ぎ金メダルで前スポーツ庁長官の鈴木大地氏(54)が、日本水連の次期会長候補に浮上したことが17日、分かった。6月の改選で青木剛会長(74)は退任する見通し。鈴木氏は13年6月から15年9月まで会長を務めており、復帰する可能性が出てきた。

鈴木氏は、昨年9月で5年間務めた同長官を退任。現在は順大教授であるとともに、国際水連理事を務め、4月には同殿堂入りを果たしている。日本のスポーツ界は海外との交渉力に不安があり、国際オリンピック委員会や国際競技団体での日本の地位向上が懸案事項。日本水泳界としても東京五輪、来年の世界選手権福岡大会を控える。行政の経験を積んで、海外での知名度も高い鈴木氏は、うってつけの存在といえる。

74歳の青木会長は、理事在任が33年目となった。本年度から始まった国内競技団体の健全運営の指針「ガバナンスコード」では理事の在任期間は原則10年。関係者は「また青木会長というわけにはいかないでしょう」。もともと同長官になった鈴木氏の不在を埋める形で就任した経緯もある。

鈴木氏は現在、日本水連で役職についていないために、正式な手続きが必要になる。6月の改選では、まず評議員会で新しい役員が選ばれ、その後の理事会で次期会長が決まる流れだ。

◆鈴木大地 すずき・だいち。1967年(昭42)3月10日、千葉県習志野市生まれ。88年ソウル五輪100メートル背泳ぎで日本水泳界に16年ぶりの金メダルを獲得。92年に引退。13年6月に日本水連会長。15年10月にスポーツ庁初代長官に就任。20年9月に退任した