「バル理容室」が大人気だ。19年ラグビーワールドカップ(W杯)日本代表プロップで特技が散髪のバル・アサエリ愛(32=パナソニック)が、二足のわらじを履いている。

1日、代表合宿が行われている大分県別府市からオンライン取材に応じ、1年半ぶりに再始動したジョセフ・ジャパンのヘアカットを担当していることを明かした。既に選手たちから予約が殺到し、トンガ出身の32歳は「来週は田村選手とレメキ選手。あと数人入っている」とグラウンド外でも大忙しだ。

19年W杯期間中も持参したバリカンとハサミを器用に使い、複数の選手の身だしなみを整えた。都内の人気美容室もその手腕を認めるほど。選手たちは代表活動期間に入ると、国内合宿と海外遠征を含めて、2カ月近く共同生活を送るため散髪が必要となる。これまでは休日にホテル近くの美容室に通っていた選手もいたが、今回はコロナ禍で行動制限されているため、これまで以上に「バル理容室」の予約が入りそうだ。

先月30日に本格始動した新生日本代表は、新加入したメンバーも含めて新たな「ONE TEAM」を築く。26日の全英代表ライオンズ戦(英エディンバラ)などに向けては、スクラムなどのセットプレーが大きなカギとなる。強固なスクラムを目指し、フォームを改良したバルは「パワーが伝わるように体幹や背中などを一生懸命トレーニングしてきた。(組み合った際に)ヒットしてきた感じだし、今はすごく自信がある」と手応えを口にした。

34歳で迎える23年W杯フランス大会では、先発の「3番」にこだわる姿勢を示した。「次はスタメンで出て、もっとたくさんプレーしてベスト8以上の結果を出したい」。“二刀流”を貫く、仕事人はグラウンド内外でチームのために貢献する。【峯岸佑樹】