ムロオ関西大学ラグビーAリーグは18日、京都・宝が池球技場の同志社大-関大で開幕する。昨季は天理大が全国大学選手権初優勝を飾り、関西勢として36大会ぶりの頂点に立った。日刊スポーツでは新たな風が吹く関西リーグの、注目チームや選手をピックアップ。WEB連載の第1回は関西6連覇を目指す王者、天理大を取り上げる。

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その衝撃は関西から全国へと伝わった。7月4日、春季トーナメント決勝。秋のリーグ戦で15年最終節の敗戦を最後に32連勝中の天理大が、19-35で同志社大に屈した。強みだったボール争奪戦で圧力を受け、攻守で劣勢を強いられた。FBの江本洸志副将(4年=日本航空石川)は言った。

「去年の代は去年の代。今年は今年。去年と同じラグビーはできない」

江本は高校の1学年先輩である日本代表CTBシオサイア・フィフィタ(22=近鉄)、SH藤原忍(22=クボタ)の背中を追い、天理大に入学。2年から主力に定着し、昨季は大学選手権決勝の早大戦でトライを挙げた。だが、決勝戦の先発15人中9人が卒部した。

新チームとなり、今夏の長野・菅平合宿で根本を見直した。小松節夫監督(58)は同志社大戦を「大きな分岐点」とし「同じ事をやっていてもアカン。いろいろなことに気づいた」とつぶやいた。これまで使用頻度が多くなかったキックは精度次第で優位に進められる新ルールを念頭に、WTBまで蹴る意識を共有。明大には10-28、帝京大には14-40で敗れたが、ハーフ団は日本航空石川出身のSH藤原健之朗、長崎南山出身のSO筒口允之という1年生コンビが先発した。同監督は「緊張したら使えない。今のところ萎縮することなく、のびのびとやっている」と期待を込める。

日本代表の欧州遠征を終えたフィフィタは、時間を見つけて練習に顔を出してくれた。江本は共に汗を流し「サイアさん(フィフィタ)は周りに厳しい分、練習前から走り、最後まで動いている。そういう姿勢が見本です。ミスが起きた時、誰かが言わないといけないところで、自分が言わないといけない」。そう自覚し、秋への決意を込めた。

「『チャンピオン』と言われるけれど、泥臭く、1点でも多く取ることにこだわりたい。1戦1戦、全試合がチャレンジャーです」

関西6連覇、2年連続日本一へ-。慢心のない王者は泥臭く戦う。【松本航】