バレーボール女子のオリンピック(五輪)銅メダリストで、東京大会では日本代表主将を務めた荒木絵里香(37=トヨタ車体)が5日、名古屋市内で引退会見を行った。五輪が延期になった昨年、現役続行を決めた際に今夏での区切りを頭に描いていた。「バレーボール選手を味わい尽くせた」と充実感をにじませた。

紺色のスーツを着て、プレーに支障があると控えていたボブヘアに変えて登壇。現役引退の理由については、東京五輪を戦い終え、技術面で限界を感じたことを挙げた。東京五輪を見届けた長女和香ちゃん(7)は「ママがバレーの選手じゃなくなる」と泣いていたという。現役時は寂しい思いをさせてきただけに「娘と過ごす時間を大事にしたい」と、長女への思いをあふれさせた。

選手と子育ての両立ができたのは、家族の力があったからこそ。出産を経て再び現役に復帰した自身のキャリアから、女性活躍の促進にも関心を寄せる。引退後は所属チームの運営に携わりながら、バレーボール界の発展策を学ぶため大学院への進学を準備する。「出産後に復帰するのが当たり前の選択肢になればいいな」と、今後も女性の社会参画などに貢献する希望を持つ。

最後の五輪は1次リーグ敗退。思うような結果にはならなかったが、3年後のパリ大会では、後輩たちが雪辱を果たすことを期待する。「個人が力をつけて、代表チームとして結集することが大事」とエールを送った。【平山連】

◆荒木絵里香(あらき・えりか)1984年(昭59)8月3日、岡山県倉敷市生まれ。11歳でバレーボールを始め、成徳学園高(現・下北沢成徳高)卒業後の03年に日本代表初選出。04年アテネ五輪は代表入りを逃したが、08年北京から東京まで4大会連続出場。12年ロンドンでは主将として銅メダル獲得に貢献。13年にラグビー元日本代表の四宮洋平さんと結婚。翌年に長女の和香ちゃんを出産後、再び現役復帰。186センチ、78キロ。最高到達点は305センチ。