南国生まれのルーキーが東北で成長を遂げる。アランマーレ秋田・嘉陽梨佳子(22)は、昨年末に行われたトライアウトで合格し、夢見た舞台でのプレーを実現させた。今季からB1秋田に所属する王偉嘉(ワン・ウェイジャ、23)に刺激を受けながら、新規参入のチームでさらなる高みを目指していく。

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故郷の沖縄・うるま市から約2400キロ。嘉陽が北国秋田で成長を誓った。今季初の公式戦となった9月のオータムカップでは3戦連続で先発出場。ルーキーながら「即戦力」として期待が寄せられる。だが、Wリーグのトヨタ紡織戦は約27分間コートに立ち、その差を痛感した。「高さや体当たりの強さは思っていた通りで高くて強かった。そこをどう対応するのか、もっと練習をしなければいけない」。個人の課題は、シュート精度の向上とチームディフェンスの協調性。強度を高めるべく調整を続けている。

名古屋学院大4年の昨年度は見えない“敵”に振り回された。新型コロナウイルスの感染拡大で、公式戦や教育実習の日程が下半期に集中し就職活動もままならなかった。競技を続けるのであればWリーグ一択。教職も視野に入れていた。「(アランマーレには)同じ沖縄出身の砂川夏輝さんがいて、バスケットをやりたいという感じだった。新規参入にもひかれて…」。そのころちょうどチーム作りに動いていたアランマーレのことを知り、すぐさま行動。昨年末のトライアウトを受験し合格をつかみ、現役続行を決めた。

入団から約半年。競技ができる喜びを感じながら、同じ秋田で戦うルーキーに力をもらっている。今季からB1秋田でプレーする王は大学時代の同期だ。嘉陽は「やっぱり負けたくない。同じ大学から秋田に来て、自分も頑張ろうという良い刺激を受けている」。23日、ホームで迎える開幕戦から初のリーグ戦が始まる。「自分たちのスローガンでもある『Challenge!』を忘れずに、コートに出たら思い切って戦いたい」。東北から沖縄へ、戦う姿を届ける。【相沢孔志】

◆嘉陽梨佳子(かよう・りかこ)1998年(平10)12月20日生まれ、沖縄・うるま市出身。小学2年で競技を始め、前原高-名古屋学院大。21年にアランマーレ入団。176センチ。ポジションはパワーフォワード。コートネームは「リカ」。