昨季リーグ最下位の近畿大学が下克上の開幕2連勝だ。リーグ6連覇を目指す天理大を破った開幕戦に続き、昨季2位同志社大を24-10。7-10で折り返し、10-10の後半33分、SO半田裕己(2年=天理)のゴール前ハイパントをWTB植田和磨(1年=報徳学園)がキャッチ、決勝トライを決めた。初めて“2強”を破り、悲願のリーグ初制覇へ前進した。

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追い風に流れたボールがゴール前に落下、走り込んだ1年生WTB植田の懐に収まった。インゴールに飛び込んだ。

「蹴る前にサインが出て、半田さんと目が合った。気づいたら、自分が捕ってました」

後半7分に10-10に追いついてから26分後の同33分。ドンピシャの呼吸のビッグプレーが、15年度以来6季ぶりの同大戦勝利を呼び込んだ。

中島総監督は植田起用の理由を「決定力がある。春は高校出たてで、体ができてなかったけど、ちゃんとコンタクトできるようになった」と語る。天理大戦の先制トライに続く大仕事に“持ってる1年”は「先輩がいいところでボールを回してくれます」と笑った。

昨季最下位チームの1、2位を連破。絵に描いたような下克上は激戦だった。反則数が実に15。U-20日本代表経験を持ち、学生界屈指のプロップ紙森陽太(4年=大阪桐蔭)を軸にしたスクラムでもコラプシングを連発した。バックス(BK)に多数のタレントを擁する同大に、絶対優位に立ちたいFW戦がままならない。紙森は「BKに助けられました。感謝したいです」。ただ、一方で同大の反則を16も誘った。後半15分から約10分間も自陣ゴール前にくぎ付けにされながら、トライは許さなかった。中島総監督は「ミスしても主導権は渡さなかった。勝利への執念の差です」と勝ちきった選手たちをほめた。

天理大を破った9月19日から約3週間を、CTB福山竜斗主将(4年=天理)は「この試合で自分たちの力が試されると思って準備した」と振り返った。昨季の大学王者・天理大、関西の象徴・同大を初めて1シーズンでまとめて破った。次は17日にV候補の一角・京産大と対戦(滋賀・皇子山)。念願の関西リーグ初制覇が早くも視界に入ってきた。【加藤裕一】