日本卓球界初のオリンピック(五輪)金メダル獲得の偉業を伝える新たなレガシー(遺産)が、静岡・磐田市内に置かれた。同市は、今夏の東京五輪卓球会場で選手がウオーミングアップで使用した卓球台1台を購入。地元出身の水谷隼(32=木下グループ)と伊藤美誠(21=スターツ)も使った台で、混合ダブルス金メダル獲得につなげた。磐田卓球場ラリーナ(同市見付)玄関脇の2人の顕彰エリアに設置され、お披露目式が3日に行われた。

草地博昭市長と同市スポーツ協会の河島直明会長が出席。草地氏は「日本で五輪が開催され、磐田出身の2人が金メダルを取ったというレガシーを少しでも多く、地域に残したかった」とあいさつ。河島氏は「大変名誉なこと。2人がここに来て、この卓球台でラリーを交わしてくれることを願っている」と話した。

卓球台購入のきっかけは、同市スポーツ振興課内の雑談だった。「東京五輪で使われた卓球台は、どうするんだろうね」。組織委員会に問い合わせると、ウオーミングアップ用の10台が定価の半額、約70万円で国内各地の体育館に払い下げられていることを知った。この話を聞いた草地氏が、購入を即決した。

三英社製の「MOTIF(モティーフ)」という台で、一般向けは約35万円。今回購入の東京五輪公式台は、卓球の「T」のデザインを強調し、東北復興支援のため、岩手県岩泉町産の木材を使った。試合で使われた卓球台は輪島塗の特製で、約400万円。

◆磐田卓球場ラリーナ 磐田市見付のかぶと塚公園内で2018年4月にオープン。名称は「卓球のラリーのように人と人との思いが行き来し、交流できる施設に」という願いから。約700平方メートルの敷地に卓球台12台を常設。約160人収容の観客席もある。水谷、伊藤両選手の功績をたたえ、ラケットやシューズなどを展示するコーナーもある。2人がメダルを獲得した16年リオ五輪公式仕様の卓球台1台を設置。