結成2季目の村元哉中(かな、28)高橋大輔(35)組(関大KFSC)がRD日本歴代トップの高得点で6位につけた。初の国際スケート連盟(ISU)公認スコアで70・74点を記録。68・13点で7位だった全日本選手権3連覇中の小松原美里、尊組(倉敷FSC)を上回り、22年北京オリンピック(五輪)代表1枠入りへ自信を深めた。

一部を赤く染めた高橋の長髪が、勢いよく揺れた。「どっこいしょ~」という、日本語で紡がれていく物語。こだわりの新しい演目「ソーラン節&琴」を、場内の手拍子がさらに引き立てた。ノースリーブの衣装から見えるたくましい腕で村元を持ち上げ、ローテーショナルリフトでは最高のレベル4。「全体的に(体が)一回り大きくなったかな。(リフトの)安定感は…」と口にすると、すかさず村元が「変わります!」。シングルから転向2年目の高橋は思わず照れた。

高橋 先シーズンは不安なところがかなりありました。すごく自信がついたリズムダンスになりました。

多くの日本人が親しみを持つソーラン節を、きめ細やかに作り上げた。前半は手で海に波を作り、魚が泳ぐ様子も表現。2人が調和した柔らかい滑りが水面の想像をかき立てると、ヒップホップの後半で一気に雰囲気を変えた。「どっこいしょ~」でリフトをし、ステップではズエワ・コーチに「伸ばして」と促された高橋の束ねた髪が映えた。

高橋 後半は歌舞伎、忍者、芸者さん。哉中ちゃんは浮世絵の世界も含め、日本っぽさを表現しました。

こだわりは日本歴代最高得点に表れ、全日本3連覇中の小松原組をリードした。五輪代表1枠を争うライバルの存在は過度に意識せず、矢印を自らに向ける。

村元 1つ1つの試合を大事に、自分たちができる100%を滑りたいです。

高橋 1試合1試合、全力を出していかないといけない。選考基準はあまり考えず、数少ない試合を思い切りやるだけです。

フリーダンスでも、心の芯はぶれない。【松本航】

◆アイスダンス北京五輪への道 日本代表は1枠。今年3月の世界選手権で小松原組が19位に入って出場権を獲得した。最終選考会を兼ねる12月の全日本選手権参加が必須。以下の条件で総合的に選ばれる。(1)全日本の最上位組(2)全日本終了時点の世界ランキング最上位組(3)全日本終了時点のシーズン世界ランク最上位組(4)全日本終了時点の今季ベストスコアの最上位組。

◆アイスダンス フィギュアスケートのカップル種目。男性が女性を持ち上げるリフト、スピン、ステップなどの技術と表現力で競う。ペア種目とは違ってジャンプがない。リズムダンス(RD)はシーズン課題のリズムを滑り、フリー(ダンス)は音楽を自由に選ぶ。日本の五輪最高成績は06年トリノの渡辺心、木戸章之組と18年平昌の村元、クリス・リード組の15位。