新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の急拡大を受け、政府が全世界を対象にした外国人の新規入国を停止している影響で、フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(9~12日、大阪)が開催中止となることが2日、複数の関係者の話で分かった。同日夕に発表される。

岸田文雄首相が表明した先月29日から、主管する日本スケート連盟はスポーツ庁に問い合わせて協議を重ねてきた。競技バブル形成を約束した上で実施に向けた準備は並行し、当初は同庁からも「開催の方向で調整」との回答を水面下では受けていた。

ところが、水際対策の厳格化を譲らない内閣官房などとの調整が難航。開催可否の最終判断について官邸預かりとなった後、最終的に断念を余儀なくされたという。

4年ぶり国内開催の予定だったGPファイナルは、シリーズの上位6人・6組がエントリー。来年2月に開幕する北京オリンピック(五輪)の前哨戦として、海外から多くのトップ選手が来日する日程だった。

男子は世界選手権3連覇のネーサン・チェン(22=米国)ら4選手、女子は世界記録保持者の15歳カミラ・ワリエワ(ロシア)ら5選手、ペア5組、アイスダンス6組が早ければ今週末から入国するはずだった。

日本勢は男子の鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)宇野昌磨(23=トヨタ自動車)と、女子の坂本花織(21=シスメックス)に加え、日本人同士のペアとしては初の出場を三浦璃来(19)木原龍一(29)組(木下グループ)が決めていた。男女3枠ある北京五輪代表選考の対象大会にもなっており、議論への影響も避けられなくなった。【木下淳】

◆フィギュアスケート北京五輪代表選考 シングルは男女ともに最大3枠を確保しており(1)全日本選手権(12月)優勝者が1人目(2)2人目は全日本2、3位、全日本終了時点の国際スケート連盟(ISU)シーズンベストスコア上位3名に加え、GPファイナル出場者上位2名となっていたが、日本連盟によると、基準変更の必要がある場合は理事会(15日)で決定(3)最後に(2)で漏れた中からISU世界ランキング等を総合的に判断して3人目を決める。全日本出場は原則必須だが、過去に世界選手権3位以内など実績を持つ選手が、けが等でやむなく参加できない場合の救済措置もある。