色紙は白紙だった。

柔道男子73キロ級で五輪2連覇の大野将平(29=旭化成)は、「いろいろ昨日から考えてたんですけど…」と色紙を見つめていた。

7日、都内で行っている日本代表合宿からオンラインで取材に応じると、「毎年この手のやつをやるんですが、今年は決めずに、真っ白な気持ちでやりたい。なにもなしで」とサインだけが書かれた色紙を掲げた。22年のテーマを各選手に聞くなかで、あえて書かないことを選んだ。

2連覇をかけた東京五輪まで過酷を極めた。心身をすりへらし、夏以降は「健康第一で過ごしてました」。11月の稽古再開までは「人生の夏休み」を満喫した。

柔道に向き合う覚悟を持つための心の動きを待ってきたが、いまも未定な部分が大きい。「詳細はこれから体を動かしながら、決めたいなと思ってます」と白紙状態。容易に3連覇を目指してパリ五輪へ、とは言えない。

「なまけてもいい。気持ちあればやればいいし、それなりのことはいままで残してきた。心と相談してやっていきたい」。泰然と待つ中で、刺激はあった。昨年末の全日本選手権では、上位4人を所属先の旭化成の選手が占めた。2連覇を狙った羽賀龍之介は直前のぎっくり腰から強行出場し、準優勝。同期の覚悟を持った死闘に「ケガがあるなかでの執念を持って我慢強い戦いは間違いなく、自分に火をつけてくれた」と着火材料になった。

来月に迫る北京五輪にも注目している。「アスリートの姿を見てですね、また刺激を頂けたらなと、いまは思ってます。小平選手の連覇は見ていきたいなと思います」。連覇がかかる、連覇したものしか分からない機微を感じ取りたいという。「画面上以外の部分といいますかね。心の部分を感じ取りながら、推測にはなりますが、そこも重要視して、拝見したいなと思ってます」と楽しみにしていた。