男子無差別級は大石雄郎(開志国際2年)が、決勝までの不戦勝1を挟み、4試合すべて一本勝ちで県の頂点に立った。決勝は130キロの藤田亜門(東京学館新潟2年)を1分38秒に内またで仕留めた。同校女子52キロ級の籠島純恋(2年)は、昨年の48キロ級に続き優勝を決めた。男女各階級優勝選手は3月の全国大会(東京・日本武道館)に出場する。

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大石が、自分より30キロ重い130キロの藤田を畳の上に音を立たせながら転がした。内またを強引に決めた。大内刈りで相手を崩し、出てくるところを狙いすまして仕掛けた。開始から1分38秒の豪快な一本勝ち。「全試合一本勝ち」という目標を、あっさりと達成した。

188センチ、100キロの大石の全身は素質がたっぷり詰まっている。50メートルを6秒2で走り、道場の「ロープ上り」は腕だけでスイスイのぼる。神奈川県出身で、柔道は横浜西中から始めたばかりという、伸び盛りの逸材だ。「一生のうちで出会えるかどうか分からない選手」と話した大倉太監督(53)だが、期待するからこそ決勝の戦いぶりに厳しかった。「70点。もっと早く攻めなければ日本一になれない」。高校日本一どころか「まだ伸びる。いずれは100キロ級の日本代表を狙って欲しい」と将来も見据えていた。

頭角を現したのは昨年6月の北信越高校柔道大会。県3位で臨んだ個人戦100キロ級で2年生ながら優勝を決め、一気に開花した。大倉監督の悩みは学校内のライバル不在。コロナ禍で練習相手を探すのが困難な状況だ。「(関東の)大学生とやらせたいレベル。強い相手とやれば、まだまだ伸びる」と話した。

全国大会は昨年のインターハイ団体戦で経験済み。3月は前日15日に優勝を決めた団体とともに、無差別級で個人でも全国の畳に挑む。「選手権で優勝を目指す」。圧倒的な強さを見せた試合ぶりと同様、大石の言葉は力強い。【涌井幹雄】

◆男子73キロ級 榎本慎太(新潟第一2年)が優勝した。男子個人戦5階級の優勝者は開志国際が4人占める中、榎本が“風穴”をあけた。菅井真斗(開志国際1年)との決勝は技ありを取って取られる展開。最後は相手の内またを返して、合わせ技で勝った。「最後まで自分の柔道ができた」と納得顔だった。

◆女子52キロ級 昨年の48キロ級に続いて個人チャンピオンになった籠島は「階級を上げたときは不安だったけれど、今回は最後まで諦めないで出来た」と言った。学校内に同じ階級の選手がいるため、昨秋から階級を1階級上げていた。昨年の全国大会は48キロ級で3回戦進出。ベスト16だっただけに「全国大会で昨年の成績を超えたい」と張り切っていた。