初代王者を狙う東京SG(旧サントリー)が上位4チームのプレーオフ進出一番乗りを決めた。静岡(旧ヤマハ発動機)を56-27で退け、6連勝で首位キープ。前半は6点リードを許したが、後半にゲーム主将のWTB尾崎晟也(26)と、途中出場だった弟の泰雅(23)がそろってトライを挙げた。リーグは残り3試合。東京ベイ(旧クボタ)は東葛(旧NEC)を71-41で下して2位に浮上した。

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東京サントリーサンゴリアス(東京SG)のFBでニュージーランド代表「オールブラックス」のダミアン・マッケンジー(26)が、チームをプレーオフ進出一番乗りへと導いた。

最後まで主役を担った。26点リードの後半40分。ハーフウエーライン付近で反則を得ると、マッケンジーは50メートルのPGを狙った。蹴り込む前のルーティンとして「ほほ笑みの貴公子」の異名通りにほほ笑むと、場内に観客の声が響いた。

世界的な名手は期待通りに正確なキックを成功させ、この日21得点目。試合後の記者会見では射程距離について「何メートルっていうのは具体的に出てこない」としつつ「うまく風を使い『いいキックを決められるんじゃないか』という感覚がありました」と振り返った。

攻守にハイレベルのプレーを披露した。5点リードの前半13分には相手防御の合間を抜群のスピードで突破し、内側の日本代表SH流大(29)にパス。流も走り込んだオーストラリア代表CTBサム・ケレビ(28)へとつなぎ、華麗な連係で貴重なトライを挙げた。守っては同30分にタックルで相手のトライを阻止。蹴っては6ゴール3PGで成功率90%をたたき出した。

チームは2月26日に埼玉パナソニックワイルドナイツ戦で敗れてから、6連勝と安定。2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイには勝ち点7差をつけ、首位を維持する。リーグは残り3試合。その先に上位4チームが進むプレーオフが控え、初代王者が決まる。

「準決勝、決勝を考えると、勢いのあるチームが優勝できる。ここからプレーオフに入るまで3試合がある。自分たちのモメンタム(勢い)を作って、最終的な目標である優勝を勝ち取りたい」

ラグビー王国からやってきたスターは、勝ってかぶとの緒を締めた。【松本航】