ウクライナに侵攻したロシアに対する制裁を強める米政府が、ロシアのプーチン大統領の愛人と目される2004年アテネ五輪新体操女子金メダリストのアリーナ・カバエワさん(38)を制裁対象リストに加えることを保留したと米ウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。

同紙によると、プーチン大統領との間に少なくとも3人の子供がいると見られるカバエワさんに海外への資産隠しの疑いがあるとして、政府内で制裁対象に加えることが検討されていたというが、最終的にプーチン氏の反撃を恐れて保留が決まったという。財務省は制裁措置の準備を進めていたが、米国家安全保障会議が「米ロ間の緊張を高める可能性があり、攻撃的な方法で対応する恐れがある」と及び腰になったのが理由だという。ただ、将来的に制裁対象に加えられる可能性は残っていると伝えている。

一方で、プーチン大統領の前妻との間の2人の娘は制裁対象となっている。カバエワさんと子供たちは、ウクライナ侵攻後はスイスに雲隠れしていると複数のメディアが報じていた。

プーチン大統領は前妻とまだ婚姻関係にあった2008年にカバエワさんとの関係がメディアで報じられるも、これまで一環として愛人関係にあることを否定している。カバエワさんは現役引退後は、現与党の統一ロシアから下院議会選挙に出馬して当選し、議員を8年間務めて14年に議員職を退き、その後はメディア界のトップに上り詰めたことで知られる。

スイスで極秘生活を送っていると見られていたカバエワさんは23日、モスクワで行われた自身の慈善団体が主催する新体操イベントに出席し、侵攻後初めて公の場に姿を見せたと複数のメディアが伝えている。ロシアのジュニア新体操代表チームのヘッドコーチが自身のインスタグラムに投稿したカバエワさんの近影を報じた英サン紙は、顔のむくみが指摘されるプーチン大統領と同じように顔が膨らんで見えると伝え、2人は同じボトックスとフィラーを用いた美容整形を受けた可能性があると指摘している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)