昨年の高校総体個人総合優勝の宮田笙子(17=鯖江スクール)が、逆転で、15年杉原愛子以来7年ぶりの高校生女王に輝いた。

宮田は、全日本総合2位の持ち点で、トップだった笠原有紗(17)に0.733点差の2位でスタート。3種目目の平均台で逆転し、持ち点との合計160.029点で初優勝。同時に、10月開幕の世界選手権(英リバプール)代表を決めた。

2位の笠原、3位の山田千遥(19)も同代表に決まった。世界選手権の代表は5人。今大会の上位3人と、6月の全日本種目別選手権が終了した時点で、チームへの貢献度を考慮し、残りの2人が選ばれる。

最後、笠原の床運動の演技が終わると、フロアの脇にいた宮田の表情が、涙でか、少しゆがんだ。体操の日本女子を引っ張る新エースの誕生だ。

京都から体操のために、中3の10月に鯖江に移住。鯖江高の田野辺満監督(51)の指導で、日本代表を目指すつもりだった。しかし、鯖江高に入学した20年4月から、新型コロナウイルスの感染拡大で「先がどうなるかも分からない。先を見るのは難しかった」。イメージトレーニングなどで、体や技を維持するのが精いっぱい。その中でも、田野辺監督の1つ1つの言葉が支えになった。

監督に言わせると、鯖江に来たときは「わがまま」。気が強いが、食事制限があっても「食べてしまうことが多かった」。しかし、最近は「大人に成長した」ことで、「アスリートらしくなってきた」という。

3月に右ひじを痛め、4月の全日本では段違い平行棒、平均台で落下。その悔しさから、宮田は「誰よりも練習し、(4種目を)通す練習を、毎日、10本もやってきた」。大人に成長した強い意志で、初の女王の座と日本代表の座をつかみ取った。

【写真特集】女子体操新時代 ①宮田笙子②笠原有紗③山田千遥 世界選手権代表3人は全員10代