新潟県の最速女王が決まった。女子50メートル自由形は多田茉凛(長岡大手2年)が26秒79の大会新記録で優勝した。16年の大会記録26秒82を6年ぶりに0秒03短縮した。前日18日の100メートル自由形は3位だったが、短い距離でパワーを爆発させた。

豪快な水しぶきが横一線に並ぶ。その中から多田が頭ひとつ抜け出した。力強いストロークとキックが水を捉えた。26秒79の大会新のタイムでタッチ板をたたくまで息継ぎは3回だけ。「大会新はひとつの目標にしていた」と2年生スプリンターは言ってのけた。

身長は159・5センチと、大柄ではない。だが多田には長い手足がある。強力な推進力になる武器を高校で磨いてきた。以前は筋力不足で長い手足を生かし切れなかったが、ウエートトレなどでパワーアップ。天性の資質は開花中だ。「体が大きくなくても活躍している人はいる。気にしていない」。

近藤優監督(41)は言う。「もの静かだが、秘めた闘志をもっている。しかも負けず嫌い」。その言葉通りに最短距離種目を「無我夢中だった」という泳ぎで制した。東北中3年時はコロナ禍で全中は中止。2年時は出場したが、リレー要員だった。「50メートル自由形で決勝に進みたい」。全国高校総体は個人種目で上位を狙う。【涌井幹雄】