11年世界選手権代表の馬淵優佳(27)が、本格復帰即2冠を達成した。

シニアの部で、五輪種目の3メートル板飛び込み(出場32人)で、267・90点を出して優勝を果たした。

24日には非五輪種目の1メートル板飛び込みでも優勝しており、今大会は2冠となった。

馬淵は「とにかくヘトヘトです。出場者が30人以上いたので、かなり体力と集中力を使いました。初日(24日)の1メートル板はすごく緊張して体がふわふわした感じがありましたが、3メートル板では落ち着いて板が踏めたと思います。久しぶりに表彰台に乗ることができ、たくさんの関係者から『おめでとう』と声をかけていただき、懐かしい気持ちになりました。あらためて今も昔もすごく恵まれた幸せな環境にいるんだなと感じました」とコメントした。

馬淵は、17年8月を最後にプールを離れた。競泳の瀬戸大也と結婚して2児を出産したが、昨夏の東京五輪に刺激を受けて「やり残しがあると思った」と現役復帰を決意した。

今年1月に復帰を表明して、4月からはミキハウスに入社。栃木県内を拠点にハードなトレーニングを積んできた。昨年12月に石川県内で競技会をこなしているが、あくまで試運転。復帰を表明してから、初めての大会を迎えていた。

今回は、17年8月にプールを離れる前よりも技の難易度を上げて臨んでいた。

「難易度を上げた分、失敗するリスクも大きいです。今日は自分のいつも通りの演技を心がけ、どこまでの力を試合で出せるかに重きを置いていました。もちろん優勝したいという気持ちは頭の片隅にありましたが、あまり欲を出さず、冷静に自分の演技に集中しました」

ミキハウスの入社式では、目標の24年パリ五輪に向けて「決して平坦(へいたん)な道のりではないと思う。1日1日を大切にして後悔のない時間を送りたい。27歳で初めての入社式ですが、フレッシュな気持ちで新人選手として、1歩1歩成長していきたい」と口にしていた。

復帰後の目標スコアとして「世界で戦うには300点はいかないと。そこにどれだけ近づけるか」と話していた。300点は東京五輪決勝に進出できる得点でトップダイバーの目安といえる数字。いきなり300点までは届かなかったが、リスタートの第1歩を優勝で飾った。

次の目標は8月の日本選手権(栃木)になる。馬淵は「難易度の高い種目はエビ型が多いので、膝やつま先で減点がないように細かい部分まで力をいれること。今年は日本選手権が一番大きな大会なので、優勝を狙っていきたいです」と力強くコメントした。【益田一弘】