夏の4強まで帰ってきた。古川学園(宮城)が3回戦で京都橘に2-0、準々決勝で東京都市大塩尻(長野)に2-0と、ともにストレート勝ちし、昨夏の8強を超える4強入り。3年生5人とともにコートに立つ今欄月那(こん・りるあ、2年)は、第1セット(S)に1つのブロックポイントを含む4得点。2年生ながら攻守に存在感を示した。郡山女大付(福島)は3回戦で金蘭会(大阪)に0-2のストレート負け。全国8強の壁は高かった。

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「レギュラーになりたての時は、『こんな自分が(コートに)立っていていいのか』と思っていました」。今は、今春の全日本高校バレー(春高バレー)が終わった新チーム始動と同時にレギュラー入り。今大会が、レギュラーで迎える初の全国大会だった。「緊張していて、昨日までプレッシャーを変に感じすぎて自分のプレーができていなかったです」。全国の舞台に浮足立ったが、岡崎典生監督(53)から「思いっきりやれ」という言葉をもらい奮起。今日は「自分の中では3日間やってきて、一番良い試合ができたと思います」と、全国を相手に確かな手応えを感じた。

「こんな心強い仲間がいるんだから、『自分は思いっきりやるだけ』と思ってやっています」。レギュラーになりたてのころに感じていた不安は、いつしか信頼に変わった。「絶対に今年は日本一になる」。今大会最高の到達点3メートル28センチを誇るタピア・アロンドラや昨年から主力として活躍する阿部明音、高橋陽果里、サウスポーの南舘絢華(すべて3年)といった多様な攻撃陣に交じり、日本一達成の一翼を担う。

準決勝は、昨夏の準々決勝で敗れた下北沢成徳と対戦する。昨夏の敗戦をベンチで見ていた今は「『古川学園でも負けるんだ』と思いました。無敵だと思っていたので…」。入学して初めて見る公式戦での敗北に驚きが隠せなかった。準決勝に向け今は「自分の実力以上のものを出そうとせず、実力の中で思いっきり、がむしゃらにプレーします」と意気込んだ。全国高校総体(IH)で負けた借りを同じIHで、今度はコート上で返す。【濱本神威】

■郡山女大付 1点差まで迫るも

郡山女大付は第1Sが14-25、第2Sが16-25と圧倒されたが、中盤まではつかず離れず。1点差まで詰め寄る粘りを見せた。セッターの後藤涼風(2年)は「序盤、中盤までは良かったのですが、中盤から相手のギアが上がって、それに対して粘ることができなかった」。強豪の強さを体感した。後藤は2週間前にスパイカーからセッターに転向。佐藤浩明監督(53)は「この子たちが上に行ったときに、どのポジションを任されても『できます』と言ってほしい」と意図を語った。発展途上の郡山女大付が、敗戦を糧に二兎(にと)、三兎を追って成長する。