1度きりの人生を全力で生きる。12月開幕予定のラグビー「リーグワン」で1部に昇格する相模原(旧三菱重工相模原)に新加入したFB中井健人(25)が5日、プロ転向の決意を示した。昨季終了後に社員契約だった静岡(旧ヤマハ発動機)から移籍。母がウクライナ人の25歳は神奈川・相模原市内での練習後に「人生は1回きり。やりたいことができるのは幸せなこと。ウクライナの問題があり『本当に何をやりたいか?』と考えた」と明かした。

ロシア軍の侵攻を受ける母の祖国。連絡は取れているが、ウクライナには親族や友人がおり、小中学生の頃に訪れたこともあった。不安に押しつぶされながらもプレーを続けていた今春、地元の福岡に住む母から「人生を楽しもう」と声をかけられた。昨季は半分に満たない6試合に出場。プロの道を選び「日本代表を目指したい。まずは自分のチームで全試合出る。得意な攻撃面を出したい」と新天地でのアピールが続く。

グラウンド外ではチャリティーTシャツを製作。先月には在日ウクライナ大使館を通じ、販売利益の全額約156万円を寄付した。「一刻も早く戦争が終わってほしい」。その願いを胸に抱き、覚悟を決めた男が相模原で輝く。【松本航】