ウクライナ侵攻でスポーツの国際大会から除外されたロシアとベラルーシの両国選手が戦禍の収まらない状況でも復帰を許可された場合に備え、ウクライナ・オリンピック委員会が24年のパリ五輪をボイコットする可能性について本格的に協議する方針を固めたことが31日、分かった。

同委員会が各国際競技連盟(IF)に対して送った26日付の書簡で判明した。2月3日に臨時総会を開く。

この問題では国際オリンピック委員会(IOC)が25日に「中立」の立場などの条件付きでロシア勢らの国際大会復帰を検討する方針を発表し、早急に対応を取った。

書簡では「両国の国内オリンピック委員会(NOC)は政府の完全な支配下にあることは明白。さらに五輪チームの多くの人々が軍隊に入っている」と指摘。多数のロシアの五輪経験者や現役選手が侵攻に関するロシア政府の行動を奨励しているとし「中立を含め、どのような立場でも国際大会から除外すべきだ」と断じ、理解を求めた。

IOCは復帰を探っていく理由について「いかなる選手もパスポート(国籍)を理由に大会参加が妨げられてはならない」とし、両国勢を排除するよう求めた勧告が国連の人権理事会から「深刻な懸念」を示されたためだとも説明している。

IOCは両国選手の復帰の条件として、中立の立場、戦争を積極的に支持しないことなどを挙げているが、線引きが曖昧との指摘も出ている。

ウクライナのゼレンスキー大統領はIOCが条件付きで復帰を検討する方針を示したことを受け「ロシア選手の中立旗は血で汚れているのは明らかだ。バッハ会長の声明に失望している」とビデオ演説で非難している。(共同)