ウクライナ・オリンピック委員会は3日、オンラインで臨時総会を開き、同国への侵攻でスポーツの国際大会から除外されたロシアとベラルーシの両国選手が復帰を許可された場合、来年のパリ五輪をボイコットする決定は見送った。今後の協議会で議論を継続する方針。近く各国のオリンピック委員会(NOC)など関係機関に呼びかけて立場を確認する作業に入り、意見を集約していく。
侵攻が長引く中、国際オリンピック委員会(IOC)は1月25日に、戦禍が収まらない状況でも中立の立場などの条件付きでロシア、ベラルーシ勢の国際大会復帰を検討する方針を発表。ウクライナ・オリンピック委員会は「どのような立場でも国際大会から除外すべきだ」と反発し、対応を取った。旧ソ連から独立したバルト3国の1つ、ラトビアのオリンピック委員会もパリ五輪のボイコットを検討している。
総会終了後、ウクライナ・オリンピック委員会の会長を務めるフトツァイト青年スポーツ相がキーウ(キエフ)で記者会見し「とても重要な話。五輪に参加するかしないか、みんなで決めていきたい」と述べた。
IOCは復帰の条件として戦争を積極的に支持しないことも挙げ、五輪参加の道を探る背景として「いかなる選手もパスポート(国籍)を理由に大会参加が妨げられてはならない」と強調。両国勢を排除するよう求めた勧告が、国連の人権理事会から「深刻な懸念」を示されたためとも説明している。
五輪のボイコットを巡っては、過去に東西冷戦下の1980年モスクワ五輪で日米などの西側諸国が、84年ロサンゼルス五輪では東側諸国が参加を辞退した例がある。(共同)