一喜一憂はしていられない。楽しみながら次へ向かう。

「てっちなペア」こと吉田知那美(31)清水徹郎(35)組が8-9で敗れ、予選リーグを1勝1敗とした。前回準Vの松村千秋(30)谷田康真(28)組に逆転負けを喫した。

第3エンド(E)までに6-2とリードしたものの、第4Eと第6Eに各3点を献上し、7-8と逆転された。

第7Eではパワープレー(ストーンの初期配置を左右どちらかにズラすこと)を選択。しかし、吉田知のスルーもあり、ハウスにストーンをためることができない。このエンドは1点にとどまり、そのまま敗れた。

悔しい1敗。会見に現れた清水は「強いチームといいゲームが出来たのは良かったですが、日本選手権という場所で言えば、負けは負けなので残念だった」と正直に打ち明けた。

一方の吉田知は開口一番に「私は残念だったとは一切思っていません。ほんとにナイスゲームだった」と笑い飛ばした。清水と反対の思いを口にし、「大会2試合目にして、これから大事になりそうなショットを、松村・谷田ペアに投げさせてもらうことができた」とうなずいた。

持ち前の“超ポジティブ思考”は、経験則に基づいている。

「いろいろな大会で決勝に進んだ経験から言えば、勝った、負けたを数えたり、フォーカスし始めたりすると、絶対にパフォーマンスが落ちるのがカーリングの鉄則なので。これからも勝った試合も、負けた試合も、勝敗はしっかりと忘れて、何が改善できそうなのか、何に伸びしろがあるのか、それを大会最終日まで考える頭と精神力を持って頑張りたいです」

よどみない言葉を耳にした清水は「そうは言っても、負けは負けなので」と苦笑いを浮かべながら、こう続けた。

「結果を除いては、楽しくカーリングができた。いいゲームができたのはよかったなと思います」

取材冒頭では落胆の色がやや濃かったものの、最後には「楽しい」という言葉を繰り返していた。

カーリングは他のウインター競技に比べ、大会期間も試合時間も長い。4人制では3時間を超える試合を連日繰り返し、その期間中にアイスの状況も刻々と変わる。

でもそれは言い換えれば、巻き返しの可能性がおおいにあることを意味する。

ちょうど1年前。北京オリンピック(五輪)で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレは、1次リーグで5勝4敗だった。【藤塚大輔】