国際オリンピック委員会(IOC)は28日、ウクライナ侵攻に伴って国際大会から除外が続くロシア、ベラルーシ両国選手の復帰に向けて、個人資格での「中立」選手に限定することなど諸条件を各競技の国際連盟に勧告した。スイスのローザンヌでの理事会で決めたもので、団体競技での出場や軍、治安当局の所属選手は認めない。
IOCのバッハ会長は記者会見で、来夏のパリ五輪や2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪の出場可否については「勧告が完全に履行されているかを注視し、適当な時期に判断する」と保留したことを明らかにした。
侵攻を支持するイベント参加やSNSなどでの発信、ロシア軍の象徴とされる「Z」マークの表示も除外対象となる。両国選手は「個人中立選手(AIN)」と位置付けられ、競技会場内のいかなる場所でも国歌や国旗を禁じる。ユニホームは白色か単色に限る。
ロイター通信によると、ロシア・オリンピック委員会のポズドニャコフ会長は「公表された条件は絶対に容認できない。国籍による差別だ」とIOCを批判した。
IOCは1月に制裁緩和へと方針転換。反発したウクライナ・オリンピック委員会はパリ五輪ボイコットも辞さない構えを見せ、日本を含む30を超える国が中立の定義の明確化を求める声明に署名した。
アジア・オリンピック評議会(OCA)は、杭州アジア大会(9~10月・中国)で両国選手に出場機会を提供する予定。(共同)