ノルディックスキーのジャンプ女子で、高梨沙羅(26=クラレ)が2011~12年シーズンに始まったワールドカップで初めて1勝もできないままシーズンを終えた。12季で歴代最多の63勝を積み重ねてきたが、今季は2度の3位が最高。「自分の思ったように流れをつくることができなかった」と悔やんだ。

まずルール変更への対応でつまずいた。スキーの先端が手前に反る形状に変わったことで、空中でこれまでより進みにくくなったと感じるようになり、感覚の違いに苦しんだ。「夏場からいろんな道具を試してきたが、なかなか決めかねる部分もあった」。模索が続き、初めて表彰台に立ったのはシーズンの半分も過ぎた今年2月だった。

状態が上向きかけた2月下旬には不運に見舞われた。世界選手権の最中に練習で転倒。左脚の脛骨(けいこつ)骨挫傷と診断され、一時戦線を離脱した。

昨年の北京冬季オリンピックは混合団体でスーツ規定違反により失格となり、引退も考えるほど沈んだ。当時の精神的な消耗も今季に向けた準備に影響した可能性がある。左脚に痛みが残った状態で臨んだ3月24日の個人最終第26戦は11位。「最後まで飛べたことはすごく収穫になった」と努めて前向きに振り返り、体力面の強化とテレマーク姿勢の改善を来季への課題に挙げた。