途中出場の石川真佑(23=フィレンツェ)が可能性を示した。今大会はリリーフサーバー起用が多かったが、最終戦は早くも第2セット途中から本職のアウトサイドへ。7連続ポイントの滑り出しから一転、最大7点差を追いつかれた22-22から流れを引き戻した。

見えたコースを的確に射抜き、レシーブでも味方の得点を呼ぶ。25-22として1-1のタイに戻すスイッチになると、続く第3セットに爆発した。硬軟を織り交ぜてボールを落とし、このセット、最多の8得点。「試合途中から流れを変える冷静な判断ができた。自信になった」と納得した。

Vリーグで日本人最多得点記録を更新。大会前、真鍋監督から「最も調子がいい」と期待され、兄で男子主将の祐希より先にオリンピック(五輪)切符を獲得する決意だった。エース古賀が下がった第4セット以降もブロックにサーブに躍動。ベンチ発進ながらチーム3位の16得点でフルセットに持ち込んだ。

「最後は気持ちで押された」と笑顔はなかったが、前日トルコ戦もリズムを好転させた。「決め切るところを課題としてやってきて今日は決められた部分もあったけど、やはりチームで戦っているので」。増す23歳の責任感。先発奪回も含め、自身の進化が底上げに直結する。「もう1段階、強い気持ちで」。苦い経験を糧に来年、借りを返す。