2000年シドニー五輪女子マラソンで、日本女子陸上界初の金メダルを獲得した高橋尚子(36=ファイテン)が28日、東京都内で記者会見し、現役引退すると正式に表明した。高橋は引退の理由について「プロ高橋として、堂々と皆さんの前に立てる走りができなくなった」などと説明した。

 3月の名古屋国際で惨敗し、アテネに続いて北京五輪の代表も逃した高橋は、現役続行を宣言。11月の東京国際、来年1月の大阪国際、同3月の名古屋国際と続く日本の3大女子マラソン連続出場を目指し、5月末から米コロラド州ボルダーで高地合宿を続けてきた。だが「精神的、肉体的に限界を感じた」ため、第一線の走りができないと判断し、今月10日に退くことを決めた。

 「Qちゃん」の愛称で親しまれ、小出義雄氏の指導の下、日本陸上界に戦後初の五輪金メダルをもたらし国民栄誉賞を受賞。01年ベルリン・マラソンでは女子で初めて2時間20分の壁を突破する2時間19分46秒の当時世界最高記録をマークした。