テニスの元世界ランキング4位の伊達公子(37)が、登録名「クルム伊達公子」で復帰する。7日、都内で会見を行い、日本の若手女子選手たちに刺激を与えることを理由に、現役復帰を宣言した。伊達はカーレーサーのミハエル・クルムと結婚しており、日本協会と国際連盟へは本名で選手登録する。昨年6年ぶりにFニッポンに復帰した夫と、夫婦二人三脚で復活ロードを歩む。

 12年ぶりの現役復帰は、夫の「やってみたら」のひと言が決定打になった。伊達は96年11月に引退し、01年にクルムと結婚した。10年以上も現役から離れていた。しかし、夫はいつも「試合に出た方がいい」と話していたという。その夫が昨年、国内最高峰のFニッポンに6年ぶりに参戦した。「その気持ちや、やる気に影響された」と伊達は打ち明けた。

 現役に復帰すれば、連戦が続く。家庭との両立は難しくなる。3月に開催されたグラフやナブラチロワとのエキシビションマッチへ向けた練習を始めた当初は「帰ってきて家事をするのもつらかった」。それを夫の協力で乗り切ったことも大きかった。復帰後は伊達公子ではなく「クルム伊達公子」で選手登録することにこだわった。

 復帰への最大の理由は「若い選手に少しでも刺激になればいいと」。当面は、伸び悩む国内の若手選手たちの大きな壁になる。まず29日に開幕するツアー下部のチャレンジャー大会カンガルー杯(岐阜)から、福岡、久留米とダブルスで3連戦する。ペアは昨年のウィンブルドン・ジュニアのダブルスで準優勝した奈良くるみらの若手有望選手になる。

 夫をはじめ周囲の協力で復帰へ向けて約半年間、トレーニングを積んできた。しかし、12年のブランクが大きいことも分かっている。「甘い世界じゃない。WTAツアー参戦や世界ランクを上げることは考えていない」。様子を見ながら、シングルス出場も計画中だ。目標は11月の全日本への単複出場だが、現在は世界ランクも国内ランクもない。当面は主催者推薦での出場となる。【吉松忠弘】