<テニス:デ杯アジア・オセアニアゾーン1部・日本-インド>◇初日◇11日◇ニューデリー

 【ニューデリー11日=吉松忠弘】

 世界ランク118位の錦織圭(18=IMG)が、日本代表最年少勝利を逃した。2月に日本男子史上2人目となるツアー優勝を達成し、この日のインド戦で18歳3カ月13日の日本男子最年少で代表デビューしたが、初代表の重圧と不慣れな芝コートで本来の力を発揮できず、同325位のロハン・ボパンナ(28)にフルセットの末、競り負けた。日本は続く156位の添田豪(23)も敗れて2連敗。もう1敗もできない窮地に追い込まれた。12日はダブルス1試合を行う。

 錦織はベンチから動けなかった。他の選手やスタッフがコートから去っても、10分近く首をうなだれたままだった。「個人戦とは悔しさが全然違った」。初めて背負う日の丸の想像以上の重圧に、18歳の天才少年も押しつぶされた。

 最終セットの第8ゲーム。錦織は集中力が切れたかのようにミスを重ねた。「自分のテニスをさせてもらえなかった」。思うようにプレーできないイライラがたまり、最後はフォアショットをネットにひっかけた。気温40度近い猛暑に挽回(ばんかい)する気力は残っていなかった。

 芝コートでの経験不足も足を引っ張った。芝での試合は05年のウィンブルドン・ジュニア以来。インドに入って試合まで3日間しかなく、慣れるには時間が短すぎた。「芝生というのが(影響が)大きかった。足が滑ったりした。踏み込めなくて、得意のパスが打てなかった」。力の半分も出せなかった。

 相手ボパンナは世界ランクこそ下だがボパンナはデ杯で単複合計17戦と経験が違った。22本のサービスエースをたたき込まれた。錦織は5セット試合も初体験。何もかもが初めてで「とてもいい経験になった。デ杯は違う」と話した。

 敗れたとはいえ代表デビューしたことで北京五輪出場の条件はクリアした。竹内監督は「初めての代表戦で、よく5セットを戦った。まだ若いのでこの先を見てほしい」とかばった。この敗戦を糧に、錦織がひと回り成長する。