<東北高校駅伝>◇8日◇岩手・大船渡市公認コース◇男子7区間(42・195キロ)女子5区間(21・0975キロ)

 福島県大会2位のいわき総合(女子)が1時間13分2秒で東北勢7校目になる最後の全国切符を獲得した。各県優勝6校を除く出場21校の中で、アンカー三浦紗那加(2年)が宮城・利府との35秒差を逆転。総合4位で3年連続の全国出場を決めた。全国高校駅伝の女子は今回が第20回記念大会で東北の出場枠が1つ増えている。男女の優勝は、青森山田が7年ぶり2度目のアベック制覇で、全国大会に弾みをつけた。

 いわき総合が驚異の逆転劇で、県大会2位の悔しさを晴らした。残り1枚の全国切符争奪戦。先を行く利府と35秒差の5位でタスキを受けた三浦が、残り1キロ付近で利府をとらえ、逆に17秒差をつけて全国確定ゴールに飛び込んだ。笑顔の後は、メンバー全員が人目もはばからず、声をあげて大泣き。県大会のアンカー勝負で逆転負けした三浦は「チームに申しわけない気持ちでいっぱいでした。最初はどうしようかと思いましたが、差が縮んできたので絶対に抜いてやると思いました」と“ヒロイン・インタビュー”に答えた。

 出走5人が昨年からの全国レギュラー。県大会ではメンバー11人が「新たな一歩を踏み出すべ」とそれぞれの左手甲に1文字ずつ書いて臨んだが、この日は「最後の切符をつかみ取れ」と刻んで士気を高めた。コースとレースコンディションは異なるが、土砂降りの県大会でマークした1時間12分26秒は各県2位校の中でトップ。それだけに自信もあったが、プレッシャーもあった。

 県大会からわずか2週間あまり。肉体的にも精神的にも気の抜けない状況の中で、調整に苦しんだ。佐藤修一監督(31)は「ほっとしました。全員がベストを尽くしたと思う」と選手たちをたたえた。チームは、全国初出場の06年から県大会の記録を毎年更新。佐藤監督は「去年のチームより強い。これまでどおりに8位以内の入賞を目標にしたい」と全国舞台を見据えた。チームは全国記念枠出場を“追い風”にし、都大路に挑む。【佐々木雄高】