<テニス:全日本選手権>◇最終日◇16日◇東京・有明テニスの森公園

 クルム伊達公子(38=エステティックTBC)が、単複2冠を達成した。藤原里華(27=北日本物産)と組んだダブルスで、第2シードの米村明子(荏原製作所)米村知子(アジアパートナーシップファンド)の姉妹ペアに6-3、6-1で勝利。今大会を「来年に向けてパワーをもらった大会」と総括し、来季の海外ツアー再挑戦へ自信を深めた。本大会でのクルム伊達のダブルス優勝は89年以来2度目、女子単複2冠は03年吉田友佳以来5年ぶりだった。

 勝利の瞬間、クルム伊達は11歳年下のパートナーと固く抱き合った。前日のシングルスの68分に続き、この日も64分での快勝劇。「まさかまさかの単複優勝を果たせた。最後にいいプレーができた。すばらしい1週間をすごせました」と笑顔が華やいだ。

 「隣でプレーするだけで緊張でつぶれそうになんですけど…」という藤原をプレーで引っ張った。前衛から鋭いボレーを決めるなど、第1セットを6-3で先取。第2セットは最後の4ゲームを連取し、6-1と一気に試合を決めた。

 4月の現役復帰表明時はダブルス中心で、今大会を「目標」としていた。それがこの日は「通過点になった。次にステップを踏み出すためのパワーをもらった大会」と総括した。既に来季の海外ツアー再挑戦をにらんでおり「今まで以上にタフなことは百も承知。その中でどれだけやれるか」と話した。

 来年1月の全豪オープンで予選を突破すれば、現在の世界ランク198位も上昇する。「(ランクが)ポンと抜け出せれば、転戦することも見えてくる」と、長期の海外転戦も視野に入れた。「日本一」の称号を2つ手にし、心は世界舞台に移ろうとしている。【阿部健吾】