<全国都道府県対抗女子駅伝>◇11日◇京都・西京極陸上競技場発着(9区間42・195キロ)

 都大路の女王が、完全復活した。北京五輪5000メートル代表で兵庫2区の小林祐梨子(20=豊田自動織機)が、大会タイ記録の29人抜きを披露。3年前に自分が更新した12分18秒を上回る12分7秒(4キロ)の区間新記録をマークし、兵庫の3位に貢献した。現在は実業団の大会出場が認められず、昨年の北京五輪も予選落ちと苦しい時を過ごしたが、今年最初のレースで快走し飛躍の年とする。また、京都が2時間15分39秒で大会5連覇を飾った。

 1人、また1人と抜き去る。兵庫2区の小林が、29人のごぼう抜き。32位から3位へ押し上げた。4年連続の区間賞は、3年前の自己記録を11秒上回る大会新記録。「今年は絶対に大会新を出そうと思っていた。とにかく前を向いて走ろうと。出せてうれしい」と満面の笑みを浮かべた。

 07年4月豊田自動織機へ入社し、社内留学制度で岡山大へ進学した。選手登録を申請した日本実業団連合から「勤務実態がない」などの理由で却下され、同連合の試合には出られない状態が続く。昨年8月の北京五輪では5000メートルに出場したが、予選落ち。昨年末には左かかと痛に苦しんだが、そんな苦悩を振り払う今年最初の快走だった。

 8月のベルリン世界選手権出場を狙う。5000メートルでは昨年1月にA標準を突破。今年6月の日本選手権(広島)で優勝すれば、自動的に出場権を得る。自らが日本記録を持つ1500メートルの出場にも意欲的で「もう日本で勝っただけでは満足できない。基本は5000だけど、チャンスがあれば、1500で出たい気持ちもある」と意欲的だ。

 12日には故郷兵庫・小野市の成人式に参加する。「もう成人なんですよ。もっと大人の走りをしたい。明日はピンクと黒の着物を着ますよ」と初々しい。高校時代に輝いた都大路で完全復活した小林が、09年を突っ走る。【奈島宏樹】