女子バレーボール、V・プレミアリーグのパイオニアが21、22の両日、“危機感”を募らせて山形・天童で今季最後の本拠地戦に臨む。レギュラーラウンド7戦を残し、10勝10敗の6位。入れ替え戦に回る8位以下とは2勝差だ。不況の影響で、同リーグの武富士が今季限りの廃部を発表する中、パイオニア本社も来春までの大幅な雇用削減を決定。チームも今季成績次第では逆風になる可能性もある。気の早い一部ファンが、存続を求める署名活動を行う中、選手たちはホーム連勝で健在ぶりをアピールする構えだ。

 危機感を背負って戦うパイオニアの選手たちの思いは、前節の連勝で示した。パイオニア本社は12日、来年3月までに、主力事業だった薄型テレビからの完全撤退と、国内外の正社員6000人を含む計1万人の人員削減を発表。第2レグ最終戦まで3連敗中だったチームは14、15日、今季連敗中だった久光製薬とシーガルズに連勝し、第3レグのスタートを切った。

 武富士の廃部決定も悲しい刺激になった。パイオニアの廃部に危機感を募らせる一部ファンの間では、既に会社側に存続を求める署名運動も行っている。「迷惑というよりも、ありがたいことです」とチーム関係者。21日からのホーム2連戦には、エース栗原と名前つながりで、昨年起きた岩手・宮城内陸地震を機に交流を深めた宮城・栗原市から、約100人の応援団も駆けつける予定だ。

 チーム目標はあくまでも最終ラウンド進出(4強)だが、現在の成績は4位と2勝差の6位。まずは、入れ替え戦回避の7位以内を確保することが先決だ。各競技で企業スポーツが苦境に立たされる中、好成績を残せば不安を和らげるはずだ。栗原、佐々木、多治見と人気選手も在籍するパイオニア。J1山形、楽天2軍と並ぶ「山形3大プロスポーツ」の火を消してはならない。【佐々木雄高】