フィギュアスケートの浅田真央(18=中京大)が、10年バンクーバー五輪金メダル獲得へ「恋愛指令」を受けた。1日、都内で世界国別対抗戦(16日開幕、東京・代々木第1体育館)の会見に出席。タチアナ・タラソワ・コーチ(ロシア)に「恋をしなさい」と、表現力向上へ珍指令を受けていたことを明かした。この日は名古屋市内で中京大の入学式にも出席。ネイルアートやパーマにも興味を示すなど、勝負の1年は大人の魅力も磨き抜く。

 顔を赤らめながら、浅田はタラソワ・コーチから受けた珍指導を説明した。

 浅田

 先生には「恋をすることで演技が少し変わってくる」と言われました。「そうなんだ」と思いました。バンクーバー五輪までに恋をする?

 うーん…。「表現力に必要だ」と先生は言っていますが、どうなんですかね、フフフ。

 もじもじと終始照れ笑いしながら答えた。連覇を狙った3月の世界選手権は、優勝した金妍児(韓国)に約20点もの大差をつけられて4位。特に表現力を示す5項目の芸術要素点は、金がすべて8点台だったのに対し、浅田は1項目にとどまった。5項目合計では8・25点もの大差。この差を埋めるためにも、数々の五輪王者を育てた名将は「恋愛のすすめ」を説いた。

 実は初恋は早かった。

 浅田

 3歳の時ですね。幼稚園で写真を見て一目ぼれしたのだと思います。

 この日は中京大の入学式に参加し、女子大生の仲間入りを果たした。新たな出会いを楽しみにしている。「ネイル(アート)とかやってみたい」「制服じゃなくて私服で行くので大人」「茶髪というほどではなくても、髪を染めたり、パーマをあてたりしたい」と、今後は日常生活から大人の魅力を磨き、“表現力”を高める考えだ。

 05年のシニア転向後、今回の世界選手権で4位となるまで全大会で表彰台に立ってきた。順風満帆に見えたが悩み、努力も続けた。

 浅田

 フィギュアをやめたいと思ったこともあります。試合で失敗して「自分はスケートに向いていないのかな」とか考えたこともありました。でも忘れやすい性格なので、次の日にはすぐ切り替えてきました。北京五輪を見て金メダルを取るイメージを高めていました。金メダルを取ったら?

 泣いているか笑っているか分かりません(笑い)。

 恋をして、大人の魅力がそなわれば、五輪の表彰台の中央が、自然と近づいてきそうだ。【高田文太】